次回は合格したいけど、どうしたらいいのか分からなくて困ったな。
USCPA試験のFARで不合格だった方から、受験体験・反省点・学習記録のフィードバックをいただいたので、共有するね。
合格者のアドバイスを参考にするのは大切だけど、不合格者の反省点からも学べることは多いと思うよ。
どこの著書『USCPA(米国公認会計士)になりたいと思ったら読む本』も参考にしてくださいね。
USCPA資格の活かし方やUSCPA短期合格のコツも記載しています。
まだUSCPAの勉強を始めていない場合は「USCPAの始めかた」も参考にしてください。
FAR不合格者からのフィードバック
USCPAのFARを受験したブログの読者様から、フィードバックをいただきましたので、ご紹介させていただきます(ご本人から許可をいただいています)。
2022年2月14日にFARを受験したのですが、2月23日に63点で不合格という結果が分かった方です。
ちなみに、スコアレポートは全ての項目が「Weaker」でした。
プロアクティブ受講生なのですが、どこ自身、キャリアについてのご相談以外では、プロアクティブ受講生の方からお問い合わせをいただいたことがありませんでした。
なので、この機会にプロアクティブについても色々とお話を聞かせていただきました。
この方は、FAR、そしてAUD、BECと不合格を繰り返していました。
各科目のアドバイスをさせていただき、無事に全科目合格、ライセンス取得までなさったことをご報告いたします(おめでとうございます!)。
1.FAR不合格の方の基本情報
まず、FARが不合格だったブログ読者様の基本情報をお伝えします。
- USCPA予備校:プロアクティブ
- FARの学習開始:2021年1月
- FARの学習時間:累計1,071時間
- 業務経験:経理・財務・監査といった経験はなし(内部管理的な業務の大枠には多少なじみがある程度)、海外駐在経験あり
- 会計の知識:BSやPLに関する基礎的な知識はあり
- 英語力:TOEIC 905点
- 学歴:大学院卒(MBA)
- USCPAを目指した理由と状況:コロナで在宅勤務が増え、出張や外出の機会が減ったため「今しかない」と一念発起し、1年間本腰を入れてFARの準備をした。
プロアクティブ受講生で、1年以上しっかりと学習時間を積み上げてきた方です。
会計知識、英語力、学歴などを見ていただくとわかるとおり、ハイスペックな方です。
2.受験の手ごたえ
つぎに、FARを受験した手ごたえについてです。
(1)MCは8割くらい、TBSは8問中1つまるまる手つかず
まるまる手つかずだったTBS問題は、時間をかければ簡単にできる問題だったかもしれないので、もったいなかった。
どこより:非常に細かく出題された問題のご説明をいただいたのですが(すごい記憶力です!)、残念ながら何が出題されたか、ここで公表はできません(公表は金利されています)。
ですが、TBSについては、Bank Reconciliation、後発事象、減損、リースを押さえておいた方が良いということはいえます(これはBlueprintsを見てもわかります)。
(2)圧倒的に時間が足りなかった。
準備段階からスピードが課題と認識していた。
急いで解くと問題文の肝心な単語を読み飛ばしたり、ケアレスミスを連発するため、本番では丁寧に解くことを心がけた。
その結果、テストレット3を終える頃には、すでに2時間半を経過していた。
どこより:テストレット3までで4時間のテストの中間ですので、所要時間の目安は2時間です。
テストレット3で2時間半を過ぎていたとなると、想定されているより少し多く時間がかかりましたね。
本番で普段と違う解き方をすると、時間配分での失敗が起こりやすいですよね。
通常から本番を意識した問題演習をし、本番でも同じように解いた方が良いでしょう。
(3)難易度変化は感じなかった。
テストレット1にも、簡単ではない問題が相応に混じっていたような気がする。
どこより:難易度変化をしていても、実際は感じないこともありますね(今回はMC問題も「Weaker」でしたので、難易度変化しなかった可能性が高いですが)。
ちなみに「Medium(普通)」のテストレットにも難しい問題が含まれており、「Difficult(難しい)」のテストレットにも簡単な問題は含まれています。
「Difficult(難しい)」のテストレットは「Medicum(普通)」のテストレットと比較して、平均より難しい問題が多く含まれているというだけです。
(4)爽快感はある。
やれるだけのことはやったので、試験は不出来だったが不思議と爽快感がある。
どこより:学習の記録(エクセルまで共有していただきました)を拝見したのですが、こんなにしっかりと学習している方を初めてみました。
綿密に学習を進められており、これだけやれば「やるだけやった」という胸中になるでしょうね。
3.受験のフィードバック(TBS問題)
TBS問題について、どのような問題が出たのかフィードバックをいただきました。
(1)TBS問題の内訳
自分で数値入力が必要な問題が4問、必要ではない問題が2問。
(2)ひと手間かかる問題も出題された。
自分で数値入力が必要な問題については、「ひと手間かかる問題」も出題された。
この「ひと手間かかる問題」とは、解となる数値の選択肢が2つ示され、リサーチ問題と同じようにデータ検索をし、根拠となるFASBの正しい項目番号を選び、その文書を読まないと正しい選択ができないという、手の込んだ問題。
(3)仕訳の問題が出題された。
仕訳については、選択肢から選べばよく、自分で仕訳まで入力することは求めらなかった。
ただし、数値は自分で計算する必要があった。
(4)DRSの問題が出題された。
添付されていた資料は、各問題ごとに4つから6つくらい。
経理実務経験が無いとよくわからないものも出題された(このような問題に対応できる問題集がほしいと思った)。
(5)リサーチ問題が2問出題された。
時間が押している中「あと少し!!!」と、2題にそれぞれ10分以上、合計25分くらいかけてしまった。
どこより:リサーチ問題に時間をかけすぎてしまいましたね。
2問中1問はダミーの可能性がありますし、25分あればまるまる手つかずだったTBS問題に時間がかけられたかもしれません。
4.学習のフィードバック
どのような学習をしてきたかについて、フィードバックをいただきました。
(1)忘却曲線との戦い
仕事しながらの受験準備の場合は「忘却曲線との戦い」といった要素は現実問題として重要。
したがって「短期間に集中して」一気に山を越えるという発想がことさら重要。
仕事しながらの勉強だと、なかなか定着しない。
「2021年1月から10月くらいの10か月間の勉強は、ほぼ忘れてしまっている」というような感じ。
「理解はできるものの、記憶として残らない」という状況。
勉強期間中「憶えては忘れ」のたび、そう感じた。
「ざるで水をすくっている」ような気がした。
(2)AICPAのリリース問題に着手したのが遅い
AICPAのリリース問題は「総まとめの演習」という意識が強かった。
その考え自体は間違っていないとは思うが、学習スケジュールが押せ押せになり、着手したのが受験の数日前という「あり得ない」状況になってしまった。
ただ、受験の数日前に解いたところ、明らかなケアレスミスを除けば、90~95%ほどはできていた。
どこより:プロアクティブの問題数は非常に多いです(非常に驚いたのですが、アビタスのように、問題が厳選されていないようです)。
ですので、全部の範囲の問題を淡々と同じ力の入れ具合で解いていくと、1周する頃には最初に解いた問題を忘れてしまうようです。
「基礎的な問題には時間をかけ、難しい問題はサラッと流す」ができないと、膨大な時間がかかりますし、不合格になってしまいますね。
ハイスペックで完璧主義な方は、特に要注意です。
あと反復が大事なので、タイミングを考えて復習の時間を取る必要がありますね。
5.使用教材
使用した教材についても、フィードバックをいただきました。
(1)使用した教材は、ほぼプロアクティブのみ。
「ほぼプロアクティブのみ」というのは 、メルカリで新品のアビタスのテキストを入手し併用したから。
とはいえ、ほとんど、ぱらぱらと眺めてみた程度。
一見、アビタスのテキストは、細かく説明がなされているように見える。
確かに、それで助かった部分もある。
だが、プロアクティブの佐々木先生が問題解説でなされているような大事なポイント、試験に際し憶えるべきポイントで、触れられていないものがかなり多く見受けられた。
もしかすると、アビタスの問題集の中で、そういったポイントはカバーされていたのかもしれないが、アビタスの問題集までは手が回らなかったので、その点はよく分からない。
(2)佐々木先生の講義は素晴らしい。
プロアクティブ 佐々木先生の「質問に対するレスポンスの速さ」は特筆すべきもの。
佐々木先生のご講義(動画)は大好き。
事務局の皆様のご対応も、素晴らしいと思う。
どこより:プロアクティブの批判をするつもりはないのですが、佐々木先生のアドバイスの内容は、試験制度が変わる前(2回くらい前?)のアドバイスで、アップデートされていないように感じます。
FAR不合格後に、電話にて佐々木先生と学習アドバイスの面談をしたそうですが、「とにかくMC問題をたくさん解け、TBS問題はやっても同じ問題が出るわけではないので、対策しなくていい」と言われたそうです。
MC問題の出題割合が多かった時代はそれでよかったかもしれませんが、今はそのアドバイスはないのではと個人的には思います。
事務局のご対応は、返信も早く丁寧だと思います(どこも、以前お問い合わせをした際にそう思いました)。
6.学習内容
学習内容についてのフィードバックです。
学習内容
- プロアクティブの問題:2.5周(含むTBS)
- 「スーパー直前」(プロアクティブの直前対策動画):1周
- AICPAリリース問題(2021年~2015年):1周(2014年以前は時間切れで着手できず)
- AICPAサンプル問題:じっくりと腰をすえて、画面操作の確認も含めて1回
プロアクティブの問題の2.5周のうち、0.5周というのは、間違え部分のみレビューしたという意味。
また、MC問題は、1周で3回問題を解いている。
MC問題の解き方
- 1つの章の問題を時間を測ってとおしで回答。
- 佐々木先生の動画を見ながら、解説を聞く際に改めて解く(要点をノートにとりながらなので、1問に10分くらい時間がかかる)。
- 改めて、全問題をとおしで回答(ほぼ満点になる)。
この流れが1周なので、1周する間に各問題を3回ずつ解いている。
どこより:プロアクティブの問題解説は全て動画で、アビタスのように目で追える解説がないそうです。
佐々木先生の説明は聞いていて楽しいのでしょうが、時間がかかるため、時間に余裕がない場合はネックです。
学習内容も、アビタスは「2割の大事なことを押さえて8割取る」が推奨されている印象ですが、プロアクティブは「9割押さえて9割5分取る」になっている印象です。
7.学習スケジュール
2月14日の受験までの、学習スケジュールについてのフィードバックです。
大きく分けると3つの時期です。
学習スケジュール
- 2021年1月5日から7月2日まで
- 2021年7月3日から2022年2月5日まで
- 2022年2月6日から2月13日まで(試験直前期)
2022年2月14日が受験で、2月3日から2月14日までは休暇を取得し、勉強に専念。
(1)2021年1月5日から7月2日まで
この時期にやったことは、以下の通り。
- 佐々木先生の講義:3回
- 講義のノートへのまとめ
(2)2021年7月3日から2022年2月5日まで
この時期にやったことは、以下の通り。
- MC問題:1周目
- MC問題:2周目(ノートができているので、時間は短縮)
- 佐々木先生の講義:全編(随所で立ち止まって内容再確認、問題を解いてみるなどをしながらとおしで)
- 「スーパー直前」:間違えた箇所のみチェック
時間を掛けすぎたのか、問題演習に着手した際には「あらかた」忘れていた。
講義を見ているときには理解はしていたが、記憶として定着させるまでには至らず。
(3)2022年2月6日から2月13日まで(試験直前期)
この時期にやったことは、以下の通り。
- 最初からとおしで間違えたMC問題をレビュー
- AICPAリリース問題
- AICPAサンプルテスト
- 佐々木先生の講義:Cash Flow作成や連結作成など、時間のかかるものを飛ばし 、2倍速で全編とおしで(記憶があいまいな点や、理解相違・記憶の入り繰り防止などの再確認)
- 公会計の復習
どこより:動画を何度も見て、ノートにまとめたということで、かなり時間がかかったようですね。
また、公会計はMC問題での得点源となるのですが、理解が不十分だったようです。
MC問題もTBS問題も「Weaker」だったのですが、MC問題については、公会計が足を引っ張ったのではないかと思います。
FARは「広く浅く」の学習となりますが、大事なところにはしっかり時間をかける必要があります。
佐々木先生は、講義で大事な論点を強調なさるそうですが、AICPAのBlueprintなども参考にして、Areaごとの力の入れ具合も変えたほうが良いかと思います。
FARの勉強はどうしたらよいのかと疑問に思われた方は、FARの勉強のポイントに関するこちらの記事を参考にしてください。
以上、「【USCPA試験の体験談】FAR不合格者からのフィードバック」でした。
リベンジに向けて、メリハリをつけて勉強することにするよ。
それに、FARの学習時間は1,000時間を超えていた(既にどこの4科目合計の学習時間と同じくらい)のに、それでも不合格となってしまったよ。
頭の良し悪しや学習時間不足ではなく、学習方法や受験戦略により、合否が大きく分かれてしまうと言えるよね。
インプットはそこそこで早めにアウトプットに移り、よく出るところをフォローしていくのが、短期合格するコツだろうね。
全範囲を同じ濃度でべたーっと勉強すると、大事なところは不足、大事ではないところは過剰になってしまい、不合格になるね。
この方と色々と話したけど、反省点や改善点がたくさん出てきていたから、それを踏まえれば、次回は合格できると思うよ。