どのくらいの学習が追加で必要になるのか、試験内容を比較したいけど、情報が少なくて困ったな。
最近「日本の公認会計士×USCPA」のダブルライセンスを目指す人が増えてきているね。
USCPA(米国公認会計士)と日本の公認会計士の試験内容を比較していくよ。
日本の公認会計士合格者がUSCPA(米国公認会計士)試験に挑戦する場合に参考にしてね。
USCPA(米国公認会計士)は、受験資格を得るためにもUSCPA予備校のサポートが必要となります。
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USCPA資格の活かしかた・USCPA短期合格のコツを記載しています。
1.USCPA試験の内容
USCPA(米国公認会計士)試験の科目は、必須科目3科目と選択科目から1科目の合計4科目です。
USCPAの試験科目
必須科目(Core):3科目必須
- FAR(Financial Accounting and Reporting):財務会計
- AUD(Auditing and Attestation):監査と証明業務
- REG(Taxation and Regulation):税法と商法
選択科目(Discipline):1科目選択
- BAR(Business Analysis and Reporting):ビジネス分析と報告
- ISC(Information Systems and Controls):情報システムと統制
- TCP(Tax Compliance and Planning):税法遵守と税務計画
ほぼ毎日受験可能で、自分で受験のタイミングや試験科目の順番が決められます。
各科目に選択問題(MC問題)と記述式問題(TBS問題)が含まれています。
注意:ただし2024年は受験できない日があり、スコアリリースのタイミングは四半期ごとに1回となります。
(1)FAR:財務会計
簿記検定でいうと、3級から1級の一部までが出題されます。
簿記の基礎、米国会計基準の財務会計の各論、公会計(政府会計・非営利組織会計)が範囲となります。
財務会計が約80%、公会計が約20%の出題割合となっています。
FARの出題範囲の例
- 現金、売掛金、棚卸資産
- 有形固定資産、無形資産
- 現在価値
- 社債、リース
- 収益認識
- 投資
- 税効果
- 外貨建取引とヘッジ
- キャッシュフロー計算書
- 企業結合、連結、持分法
- 政府会計、非営利組織会計
(2)AUD:監査と証明業務
監査の概念、監査プロセス、内部統制などについて出題されます。
監査・証明業務が約80%、会計士としての責任が約20%の出題となります。
AUDの出題範囲の例
- 財務諸表監査
- 監査報告書
- 内部統制
- 監査以外の保証業務
- IT監査
(3)REG:税法と商法
米国連邦税法と米国ビジネス法の2つに大きくは分かれます。
米国連邦税法が約85%、米国ビジネス法が15%の出題となります。
REGの出題範囲の例
米国連邦税法
個人所得税、法人税、米国特有のパートナーシップなどについて出題されます。
- 個人所得税
- 法人税
- 資産取引
- パートナーシップ
米国ビジネス法
米国のパートナーシップ法、会社法や契約法など物品売買をメインに出題されます。
- 契約
- 物品売買
- 動産担保取引
2.日本の公認会計士試験の内容
日本の公認会計士の試験は、短答式試験(マークシート方式)、論文式試験(筆記試験)の2つに分かれています。
日本の公認会計士の試験科目
短答式試験(マークシート方式)
- 財務会計論
- 管理会計論
- 監査論
- 企業法
論文式試験(筆記試験)
- 会計学(財務会計論と管理会計論)
- 監査論
- 企業法
- 租税法
- 選択科目(経営学・経済学・民法・統計学から1科目)
短答式試験は4科目で、論文式試験は5科目です。
短答式試験は12月上旬か5月下旬の年2回、論文式試験は8月下旬に受験可能です。
また、論文式試験は、短答式試験合格者か短答式試験免除者が受験できます。
(1)財務会計論:計算と理論
「簿記」と「財務諸表論」に分かれます。
- 簿記:企業の活動を記録・計算し、集計する方法
- 財務諸表論:会計基準というルールの内容、理論的背景、考え方
(2)管理会計論:計算と理論
製品を作るためにかかった金額を計算する「原価計算」と「原価計算」の方法に関する基準の内容、考え方が出題されます。
(3)監査論:理論
公認会計士が備えるべき価値観や、財務諸表監査に関するルールの内容や背景についての理論が出題されます。
(4)企業法:理論
「会社法」をメインとして、「商法」「金融商品取引法」など、条文、立法趣旨、要件、効果などについての理論が出題されます。
(5)租税法:計算と理論
「法人税法」をメインとして、「所得税法」「消費税法」など、税金を計算する問題と、計算方法を裏付ける理論の背景、考え方について基礎的な問題が出題されます。
(6)経営学:計算と理論
経営戦略、モチベーション、リーダーシップ、コーポレート・ガバナンス、ファイナンス、マーケティングなどについて、計算問題と知識が問われる問題(時事的な問題も含む)が出題されます。
(7)経済学:計算
企業や消費者の経済行動や、個々の財・サービスの需給の分析をする「ミクロ経済学」と国レベルの経済全体・世界経済全体の分析をする「マクロ経済学」の計算問題が出題されます。
(8)民法:理論
売買契約などの財産取引を規律する「財産法」の論述が出題されます。
(9)統計学:計算
確率、相関・回帰分析、推測統計などに関して、与えられたデータを用いた計算方法や、確率を利用した統計的評価方法が出題されます。
3.USCPA試験と日本の公認会計士試験の内容比較
USCPAと日本の公認会計士の試験内容を比較してみましょう。
(1)試験のあり方と役割の比較
USCPAの方が4科目しかなく、楽そうに見えるかもしれませんが、実際はそういうわけではないでしょう。
試験自体は分かれていませんが、USCPA試験には選択問題(MC問題)だけではなく、記述式問題(TBS問題)も含まれています。
学習体系 | USCPA試験 | 日本の公認会計士試験 |
幅広い基礎知識が必要 | 選択問題(MC問題) | 短答式試験 |
体系的な理解と応用力が必要 | 記述式問題(TBS問題) | 論文式試験 |
USCPA試験も日本の公認会計士試験も、幅広い基礎知識と体系的な理解・応用力が必要なのは同じです。
USCPA試験の選択問題(MC問題)と日本の公認会計士試験の短答式試験、記述式問題(TBS問題)と論文式試験が同じようなあり方と考えるとシンプルでしょう。
どこは、あいにく日本の公認会計士試験は受けたことがないので難易度の比較はできないのですが、どちらも勉強した人によれば、以下のような難易度になるようです。
USCPA試験と日本の公認会計士試験の難易度比較
短答式試験 < MC問題 < TBS問題 < 論文式試験
ただし、USCPA試験は英語での試験ですので、英語力によっては難易度が変わると考えられます。
日本の公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験に分かれていますが、別物としての学習は非効率となりますし、体系的な理解があれば短答知識にも対応できます。
これはUSCPA試験も同じで、試験範囲が広いため、すべてを完璧にしようとするのではなく、TBS問題を通して体系的な理解を身につけ、MC問題にも対応していくのが効率的です。
USCPA試験に関しては、「MC問題ができればTBS問題ができる」とよく言われますが、「TBS問題で体系的な理解をすることで、MC問題もできるようになる」とも言えでしょう。
USCPA試験のMC問題でも、日本の公認会計士試験の短答式試験でも、基本的な問題が幅広く出題され、必要な知識がないと足切りされます(USCPA試験はその科目が不合格となり、日本の公認会計士試験は論文式試験に進めません)。
USCPA試験のTBS問題でも、日本の公認会計士試験の論文式試験でも、思考力・判断力・応用力などに評価の重点が置かれます。
つまり、USCPA試験も日本の公認会計士試験も、試験のあり方、役割としては大きな違いはないと理解しています。
ただし、USCPA試験は「絶対評価」の試験であり、自分が良くできれば合格ですが、日本の公認会計士試験は「相対評価」の試験であり、自分が良くできているとしても、合格者を制限するために不合格になる可能性があるのが、大きな違いでしょう。
(2)必要となるインプット量での比較
試験科目の比較ですが、日本の公認会計士試験に合格した人がUSCPA試験を受ける場合、どのくらいの対策が必要になるのかという視点で見ていきます。
必要な対策については、インプット(講義を聴く、テキストを読む)という意味であり、出題形式が違いますので、アウトプット(問題を解く)はまた別です。
必要な対策は5段階として、多く対策が必要な場合は5としますが、個人差がありますので、参考するにとどめてください。
試験科目 | 出題項目 | 必要な対策(最大が5) |
FAR | 財務会計 | 2から3 |
政府会計 | 5 | |
AUD | 3 | |
REG | 米国連邦税法 | 4 |
米国ビジネス法 | 5 | |
AUD | 3 |
日本の公認会計士試験に合格していれば、英語で専門用語を覚える必要があるとはいえ、政府会計を除いたFARとAUDは、インプットの時間をかなり節約できると思います。
反対に、REGについては、税法は日米で差がありますし、ビジネス法は新たに覚えることが多いため、あまりインプットの時間は節約できないでしょう。
BECは、管理会計と財務管理、コーポレート・ガバナンスは既にある程度の知識はあるため、試験範囲の6割くらいについては、インプットの時間が節約できるでしょう。
以上、「米国公認会計士(USCPA)と日本の公認会計士の試験内容比較【簡単なのは?】」でした。
とはいえ、そもそも英語で出題されるし、出題形式が違うから、アウトプットの時間はしっかり取らないとだめだね。
USCPA試験の場合、そもそも学習を継続するのが大変で撤退してしまう人が多い印象だけど、日本の公認会計士であれば、学習の習慣ができているだろうから、その点の心配がいらないのは大きいと思うよ。
「USCPA or 日本の公認会計士」「日本の公認会計士 × USCPA」「USCPA × 日本の公認会計士」については、以下の記事も参考にしてください。
USCPA(米国公認会計士)は、受験資格を得るためにもUSCPA予備校のサポートが必要となります。
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