USCPA(米国公認会計士)試験に合格していれば、BIG4の監査職で新卒採用してもらえるのかな。
最近、大学生から、USCPAの監査職での新卒採用に関するご相談をいただくことが増えたよ。
実際にBIG4監査法人の人事の方にUSCPAの新卒採用について確認をしたので、解説していくね。
USCPA(米国公認会計士)は、受験資格を得るためにもUSCPA予備校のサポートが必要となります。
おすすめのUSCPA予備校はアビタスです。
どこの著書『USCPA(米国公認会計士)になりたいと思ったら読む本』も参考にしてくださいね。
USCPA資格の活かしかた・USCPA短期合格のコツを記載しています。
BIG4監査法人の「監査トレーニー」についてもよくご質問をいただきますが、当記事より、以下の記事の方が詳しいです。
はじめに:「USCPAになって監査法人で働きたい」の考え方
当記事を読んだ「USCPAになって監査法人で働きたい」という方から、「USCPAなら監査法人で働けるのか?」というお問い合わせを多くいただきます。
このようなお問い合わせについては、どのように質問をされてもほぼ同じ回答となるため、「USPCAになって監査法人で働きたい」について最初に補足しておきます。
USCPAが監査法人で働きたいという場合の採用される可能性は、次のように考えるといいでしょう。
まずは、USCPAかJCPA(日本の公認会計士)かで異なります。
日本の公認会計士であれば、合格した時点で、どのような監査法人のどのような部門でも採用される可能性は十分にあります。
USCPAより日本の公認会計士の方が、日本で働く限りは圧倒的に評価が高い!
そして、USCPAの場合、新卒採用か中途採用かで異なります。
中途採用の場合、20代、もしくは、30代前半でもしっかりとした社会人経験があれば監査でもアドバイザリー(被監査)でも採用される可能性があります。
一方で新卒採用の場合、監査かアドバイザリー(非監査)かで異なります。
新卒で監査がしたい場合、BIG4での採用は採用される可能性はほぼないと思っていいです。
BIG4でのアドバイザリーや中小監査法人であれば、採用される可能性はあります。
ただし、ポテンシャル採用となるので、たとえUSCPAという資格があっても、採用される保証はないことに注意が必要です。
1.BIG4監査法人の監査部門の採用の種類
大学生の方から、「USCPAなら、BIG4の監査職で新卒採用してもらえるのか?採用してもらえるなら、USCPAを受けたい」というご相談を多く受けます。
残念ながら、ご相談をしてくる大学生の方の中で、BIG4のUSCPAの新卒採用について、自分で調べたことがある方はいませんでした。
恐らくどう調べればいいのか分からないのだと思いますので、調べ方のヒントをお伝えします。
BIG4監査法人は、Webサイト上に「採用」のページを設けています。
監査部門の採用の場合は、以下の2つに大きくは分かれます。
BIG4監査法人の監査部門の採用
- 日本の公認会計士の「定期採用」
- 社会人の「中途採用」
(1)日本の公認会計士の「定期採用」
まずは、日本の公認会計士の「定期採用」があります。
日本の公認会計士の場合は、受験者の大半が学生または既卒の社会人経験の無い方。
試験に合格した後は、すぐに監査法人に就職する場合が多いです。
ですので、日本の公認会計士試験の合格発表があったタイミングで、合格者を一挙に「定期採用」します。
- 日本の公認会計士試験の合格発表は、11月です。
- よって、日本の公認会計士試験合格者は、11月に入所します。
- 日本の新人公認会計士の1年は、11月に始まると考えて良いです。
- BIG4監査法人の1年は、決算期首が7月なので、7月に始まると考えて良いです(ただし、トーマツのみ6月)。
- つまり、BIG4監査法人の決算期末は6月末(ただし、トーマツのみ5月末)。
- 多くの日本の大企業の決算期末は3月で、会計監査人を選ぶ株主総会が6月に開かれるから6月になっています。
BIG4監査法人についてはこちらの記事を参考にしてください。
(2)社会人の「中途採用」
つぎに、社会人の「中途採用」があります。
USCPAは、この「中途採用」となります。
USCPAの場合は、試験はほぼ毎日受けられ、合格発表(スコアリリース)は月に1回くらい。
そして、受験者の大半が社会人経験のある方で、試験に合格したあとすぐ、もしくは、しばらくしてから、キャリアアップを狙って転職する場合が多いです。
USCPAは合格するタイミングも、転職するタイミングもバラバラ。
よって、合格者を個別に「中途採用」することになります。
- USCPAに合格した大学生の場合は、社会人経験がなく、厳密には「中途採用」ではないのですが、採用のプロセスとしては、こちらの「中途採用」となります。
- よって、Webサイト上の「採用」のページでも、「中途採用」の方を確認することになります。
- とはいえ、職務経験がないため、社会人と同じ土俵に立てるわけではないので注意してください。
2.BIG4監査法人の監査部門の採用の募集要項
具体的に、各BIG4監査法人における監査部門の採用の募集要項について見ていきましょう。
BIG4監査法人の中途採用のページ
BIG4監査法人は、日本全国に事務所を構えており、事務所ごとに人材募集をしています。
USCPAの場合は、日本の公認会計士よりも採用される事務所が限定されると考えた方がいいでしょう。
USCPAを採用する場合は、英語を使用する業務であることが多く、英語を使用するような外資系企業などのクライアントは、大都市にオフィスを構えていることが多いからです。
日本の公認会計士の場合は、主要都市の事務所で人材募集がされていますが、USCPAの場合は、大都市の事務所のみとなります。
(1)KPMGあずさ
あずさ監査法人の会計監査部門の応募条件(東京事務所の場合)を見てみましょう。
応募条件は以下の通りです。
応募条件
- 公認会計士 および 公認会計士論文式試験全科目合格者 またはUSCPA および USCPA試験全科目合格者
職務の経験者以外でも、以下の要件があればチャレンジ可。
- 何事にも前向きに取り組む方
- 論理的な思考力、理解力がある方
- 対人コミュニケーション能力がある方
「USCPA および USCPA試験全科目合格者」となっていますので、USCPAのライセンスを取得していなくても、USCPA試験に全科目合格していれば応募できるということですね。
USCPA試験の科目合格では応募はできないようです。
(2)EY新日本
EY新日本監査法人の監査部門の応募条件(東京事務所の場合)を見てみましょう。
応募条件(スタッフの場合)は以下の通りです。
応募資格
日本公認会計士資格、または公認会計士論文式試験全科目合格者
米国公認会計士資格、または全科目合格者
論理的な思考力、コミュニケーション能力のある方
事業会社での経理実務経験があれば尚可
「米国公認会計士資格、または全科目合格者」となっていますので、USCPAのライセンスを取得していなくても、USCPA試験に全科目合格していれば応募できるということですね。
USCPA試験の科目合格では応募はできないようです。
(3)PwCあらた
PwCあらた監査法人の監査部門の応募条件(東京事務所の場合)を見てみましょう。
「募集職種」には監査部門での採用はなく、「個別カジュアル面談会」という形で掲載されていましたので、それを参照します。
応募条件は以下の通りです。
登録資格 Qualification
(必要なスキル・経験)
以下のいずれかに該当する方
・日本公認会計士、日本会計士試験全科目合格者、USCPA資格保持者
・金融機関で、経理・財務・IT関連・内部監査等の経験を有する方 ※一般事業会社等でのご経験の場合は、USCPA科目合格から
・監査法人での監査経験・アドバイザリー業務経験を有する方
・金融機関や大手企業向けのIT支援業務経験をお持ちの方(あれば望ましい資格など)
・ビジネスレベルの英語力をお持ちの方
「USCPA資格保持者」となっていますので、基本的には、USCPA試験に全科目合格し、USCPAのライセンスまで取得していることを想定しているのでしょう。
また、「一般事業会社等でのご経験の場合は、USCPA科目合格から」となっていますので、経理・財務・IT関連・内部監査などの実務経験があれば、科目合格でも応募が可能なようです。
(4)Deloitteトーマツ
Deloitteトーマツ監査法人の会計監査業務の応募条件(東京事務所の場合)を見てみましょう。
応募資格は以下の通りです。
応募資格
【必須要件】
①もしくは②に該当する方
①日本の公認会計士(日本の公認会計士論文式試験合格者を含む)
②米国公認会計士資格(USCPA)の資格保持者であって、日商簿記2級以上の知識・経験のある方【以下のご経験・スキルがあれば尚可】
■監査法人、会計事務所等における監査実務経験
■上場企業等における経理実務経験
■語学力(ビジネスにおける英語の使用経験 等)
「米国公認会計士資格(USCPA)の資格保持者であって、日商簿記2級以上の知識・経験のある方」とありますので、基本的には、USCPA試験に全科目合格し、USCPAのライセンスまで取得していることを想定しているのでしょう。
また、日商簿記2級以上の知識・経験のある方とありますので、日商簿記2級に合格しておくのが無難そうです。
比較:各BIG4監査法人の監査部門の採用の募集要項
どの事務所か、どの監査部門かによって、多少は採用の募集要項が変わってくるかもしれませんが、各BIG4監査法人の東京事務所の監査部門の募集要項を比較してみます。
BIG4監査法人名 | 募集要項 |
KPMGあずさ | USCPAのライセンスを取得していなくても、USCPA試験に全科目合格していれば応募可。 |
EY新日本 | USCPAのライセンスを取得していなくても、USCPA試験に全科目合格していれば応募可。 |
PwCあらた |
|
Deloitteトーマツ | USCPAのライセンスがあり、日商簿記2級レベルであれば応募可。 |
ただ、USCPAのライセンスが必要であるように見えても、USCPA試験に全科目合格しており「入所後にUSCPAのライセンスを取る」と言えば、応募できるのではないかと個人的には思います。
3.BIG4監査法人の監査部門の新卒USCPAの採用
BIG4監査法人の監査部門で、中途での(転職希望の)USCPAを採用しているのかは分かっていただけたと思いますが、新卒のUSCPAを採用しているのかがあいまいだと思います。
正直に言うと、新卒のUSCPAでの採用は難しいです。
(1)BIG4で働いていたとき、新卒のUSCPAはいなかった
どこは、BIG4監査法人の監査部門で働いていた経験があります。
監査部門にはUSCPA自体は50人ほど所属していましたが、新卒のUSCPAは一人もいませんでした。
USCPAに関しては、新卒採用の動きがなく、30代以上も採用していなかったので、採用時に25歳から29歳のUSCPAしかいなかったです。
追記(2021年11月22日):どこが働いていたBIG4監査法人の人事の方に、新卒のUSCPAの採用状況について質問をしましたが、新卒のUSCPAの採用はしておらず、今まで採用した実績はないそうです。
ちなみに、他のBIG4監査法人についても、人事の採用担当の方にお問い合わせをさせていただきましたが、現在は新卒のUSCPA採用はしていないそうです。
(2)BIG4からすると、新卒のUSCPAを採用するメリットはあまりない
新卒のUSCPAというのは、新卒の日本の公認会計士試験合格者とも、社会人経験のあるUSCPAともどっちつかずで、採用のプロセスが確定されていません。
よって、個別での採用対応となってきますが、新卒の日本の公認会計士試験合格者や社会人経験のあるUSCPAよりも、何か大きなウリがないと、BIG4監査法人としても、わざわざ採用しようと思えないですよね。
社会人経験のあるUSCPAであっても、海外で働いた経験があったり、英語力がネイティブ並みに高かったり、事業会社での経理経験(年次決算まで一人でできるなど)のある、20代の若手しか採用していませんでした。
単にUSCPA試験に合格しただけで、あまり英語力が高くなかったりすると、「USCPAより日本の公認会計士試験合格者を採用した方が手っ取り早い」と思われてしまうでしょう。
(3)新卒のUSCPAなら「監査アシスタント採用」を狙う?
新卒のUSCPAが採用される可能性があるのは、EY新日本監査法人の「監査アシスタント採用」や、KPMGあずさ監査法人の「監査補助者採用」などになるのかと思います。
ただし、USCPA試験に合格していることが採用の条件にはなっておらず、他の無資格者と一緒の採用プロセスになってくるので、どこまでUSCPA試験合格がプラスに働くかは分かりません。
また、給料が安いですし、任せてもらえる業務も簡単なものばかりです。
USCPA資格を取って就きたい業務なのか疑問なところです。
EY新日本監査法人の「監査アシスタント」
- 会計士の事務業務をサポートをする職種。監査の補助業務を行う。
- 報告書作成補助、Excelを使用したデータ作成・管理などを行う。
- 20代から30代の女性が主な対象者。
- 簿記2級くらいの知識があるのが望ましい。
(4)新卒のUSCPAなら、アドバイザリーや中小監査法人に応募する?
監査職でなくアドバイザリー職や、BIG4監査法人ではなく中小監査法人であれば、話は別となります。
BIG4監査法人での監査にこだわらなければ、新卒のUSCPAでも採用される道はあるかもしれません。
(5)「USCPAを取って新卒でBIG4で監査」は検討の余地アリ
監査法人で働いたことのない人がネットに書いている「USCPAを取って、新卒で監査法人で監査をするのがおすすめ」というのは、あまり鵜呑みにしない方がいいと思います。
「新卒で監査法人で監査がしたいけれど、日本の公認会計士は合格できる自信がないので、USCPAはどうか」というご相談をいただくことが多いです。
「USCPAの新卒だと難しいと思う」とお返事していますので、どこにご相談いただく場合はご承知おきください。
以上、「USCPA合格の大学生はBIG4大手監査法人の監査職で新卒採用される?」でした。
それでもUSCPAは可能性を感じるから挑戦してみたいよ。
無資格者よりは、少しは採用時にプラスに評価されるくらいだと思った方がいいだろうね。
あくまでも、USCPAという資格は、日本では国家資格ではなく公的資格の扱いで、実務経験にプラスして評価されるものなので、そのことは理解しておいた方がいいと思うよ。
それでもUSCPAの勉強がしたい場合は精一杯応援するから、ご連絡をお待ちしているよ。
USCPA(米国公認会計士)は、受験資格を得るためにもUSCPA予備校のサポートが必要となります。
おすすめのUSCPA予備校はアビタスです。
どこの著書『USCPA(米国公認会計士)になりたいと思ったら読む本』も参考にしてくださいね。
USCPA資格の活かしかた・USCPA短期合格のコツを記載しています。