BATICからUSCPAの勉強に移った時、どのくらい有利なのか知りたいな。
USCPAを受験する前にBATICも受験し、ハイスコアを取ったよ。
BATICとUSCPAのFAR(財務会計)の出題内容を比較し、BATICをやっておけば、USCPAでどのくらいアドバンテージが得られるのか解説するよ。
BATIC(国際会計検定)は2022年11月28日に終了!
BATICは終了してしまったので、USCPA(米国公認会計士)に挑戦することを検討しましょう。
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BATIC(国際会計検定)とUSCPAのFAR(財務会計)を比較!
当記事の結論を最初に書いてしまいます。
BATICとUSCPAのFAR(財務会計)を比較した結論
- USCPAの受験前にBATICを学習しても、大したアドバンテージにならない。
- とはいえ、BATICで英文会計の基礎の基礎が学べるので、BATICの学習をしておくと、スムーズにUSCPAの学習が始められる。
- 既にUSCPAを受験すると決めている場合は、最初からUSCPAの学習を始めた方がいい。
- USCPA予備校は、英文会計入門といった講座を用意しているので、英文会計初学者でも心配はいらない。
- USCPAを受験するか迷っている場合は、USCPAの学習に挫折しないかたしかめるために、BATICを先に学習してみてもいい。
1.BATICの試験内容
BATICは、2021年に大幅にリニューアルされました。
おそらく、BATICとUSCPAを比較している記事の多くは、リニューアル前のBATICを基にして議論していると思いますので、注意してください。
BATICの試験内容を2021年のリニューアル前(旧BATIC)とリニューアル後(新BATIC)に分けて見ていきます。
(1)旧BATICの試験内容
2021年のリニューアル前の旧BATICは、以下の2つのSubjectに分かれていました。
旧BATICのSubject
- Subject1:英文簿記
- Subject2:国際会計理論
Subject1(英文簿記)とSubject2(国際会計理論)の試験内容は、以下の通りでした。
①Subject1(英文簿記)の試験内容
まずは、Subject1の試験内容です。
Subject1(英文簿記)の出題内容
Basic Concepts of Accounting and Bookkeeping | 会計と簿記の基本概念 |
Transactions and Journal Entries | 取引と仕訳 |
Journal and Ledger | 仕訳帳と元帳 |
Trial Balance | 試算表 |
Adjusting Entries | 決算修正仕訳 |
Accounting for Inventory and Cost of Sales | 棚卸資産と売上原価の会計処理 |
Worksheet and Closing Entries | 精算表と締切仕訳 |
Financial Statements | 財務諸表 |
Basic Assumptions and GAAP | 基本的な前提とGAAP |
Financial Statement Analysis | 財務諸表分析 |
Internal Control | 内部統制 |
Cash Control | 現金管理 |
Subject1では、基本的な簿記の問題が出題されていました。
そして、以下のようなことが目標とされていました。
Subject1(英文簿記)での目標
- 基本的な会計取引が理解できること
- 英語で会計帳簿の記帳や管理ができること
日商簿記検定だと、3級くらいの内容でしょう。
②Subject2(国際会計理論)の試験内容
つぎに、Subject2の試験内容です。
Subject2(国際会計理論)の出題内容
International Financial Reporting Standards and its Conceptual Framework | IFRSとその概念フレームワーク |
Financial Statements | 財務諸表 |
Fair Value Measurement | 公正価値測定 |
Cash and Trade Receivables | 現金と売上債権 |
Inventories | 棚卸資産 |
Property, Plant and Equipment | 有形固定資産 |
Intangible Assets | 無形資産 |
Impairment of Property, Plant and Equipment and Intangible Assets | 有形固定資産および無形資産の減損 |
Lease | リース |
Financial Assets | 金融資産 |
Financial Liabilities | 金融負債 |
Provisions, Contingent Liabilities and Contingent Assets | 引当金、偶発負債および偶発資産 |
Equity | 資本 |
Revenue Recognition | 収益認識 |
Employee Benefits | 従業員給付 |
Income Taxes | 法人所得税 |
Statement of Cash Flows | キャッシュ・フロー計算書 |
Business Combinations/ Consolidated Statements | 企業結合と連結 |
The Effects of Changes in Foreign Exchange Rates | 為替レートと変動の影響 |
Accounting Policies, Changes in Accounting Estimates and Errors | 会計方針、会計上の見積りの変更および誤謬 |
Earnings per Share | 1株当たり利益 |
Interim Financial Reporting | 期中財務報告 |
Operating Segments | 事業セグメント |
Subject2では、会計基準やIFRS(国際財務報告基準)が出題されていました。
そして、以下のようなことが目標とされていました。
Subject2(国際会計理論)での目標
- 国際会計理論と国際財務報告基準(IFRS)を理解すること
- IFRSでの財務諸表の作成と分析ができること
- 国内基準からIFRSへの組替えができること
- 会計手続き、会計方針の策定とその推進ができること
- 月次及び年度の会計報告ができること
- 適切な決算修正仕訳や精算表が作成できること
日商簿記検定だと、2級や1級の内容でしょう。
(2)新BATICの試験内容
2021年のリニューアル後の新BATICは、Subjectで分かれていません。
新BATICの出題内容は、以下の通りです。
新BATICの出題内容
Basic Concepts of Accounting and Bookkeeping | 会計と簿記の基本概念 |
Transactions and Journal Entries | 取引と仕訳 |
Journal and Ledger | 仕訳帳と元帳 |
Trial Balance | 試算表 |
Adjusting Entries | 決算修正仕訳 |
Accounting for Inventory and Cost of Sales | 棚卸資産と売上原価の会計処理 |
Worksheet and Closing Entries | 精算表と締切仕訳 |
Financial Statements | 財務諸表 |
Basic Assumptions and GAAP | 基本的な前提とGAAP |
Financial Statement Analysis | 財務諸表分析 |
Internal Control | 内部統制 |
Cash Control | 現金管理 |
Accounting for Assets and Liabilities | 資産と負債の会計処理 |
出題内容としては、旧BATICのSubject1(英文簿記)とほぼ同じです。
旧BATICのSubject1に「Accounting for Assets and Liabilities(資産と負債の会計処理)」が追加されただけです。
新BATICで追加された「Accounting for Assets and Liabilities(資産と負債の会計処理)」は、以下のような内容です。
- 有形固定資産(取得原価と売却・処分)
- 無形固定資産
- 社債
2.USCPAのFAR(財務会計)の試験内容
今回比較するのは、BATICとUSCPAのFAR(財務会計)です。
はじめにUSCPAの試験科目を確認し、それから、FAR(財務会計)の試験内容について詳細を見ていきましょう。
(1)FAR(財務会計)は必須3科目の中の1科目
USCPAの試験科目は4科目あります。
注意:2024年1月からの新USCPA試験では、必須科目3科目と選択科目1科目(3科目の中から1科目選択)となっています。
USCPA試験科目
必須科目(Core):3科目必須
- FAR(Financial Accounting and Reporting):財務会計
- AUD(Auditing and Attestation):監査と証明業務
- REG(Taxation and Regulation):税法と商法
選択科目(Discipline):1科目選択
- BAR(Business Analysis and Reporting):ビジネス分析と報告
- ISC(Information Systems and Controls):情報システムと統制
- TCP(Tax Compliance and Planning):税法遵守と税務計画
USCPA試験の必須コア科目は、FAR(財務会計)、AUD(監査と証明業務)、REG(税法と商法)の3科目です。
FAR(財務会計)は、USCPA試験の中でベースとなる会計の科目であり、一番ボリュームが多く、一番学習に時間がかかる科目でもあります。
今回は、このFAR(財務会計)がBATICとの比較対象です。
(2)FAR(財務会計)の試験内容
FAR(財務会計)の試験内容について見ていきましょう。
FAR(財務会計)の出題分野は、以下の通りです。
FAR(財務会計)の出題分野
- 概念的枠組み、基準設定と財務報告
- 財務諸表の勘定科目の選択
- 取引の選択
- 州政府および地方自治体
USCPAのFARにおいては、企業(公共・非公共)、非営利団体、州・地方自治体が使用する財務会計と報告の枠組みについての知識とスキルが試されます。
①概念的枠組み、基準設定と財務報告
「概念的枠組み、基準設定と財務報告」の出題内容は、以下の通りです。
「概念的枠組み、基準設定と財務報告」の出題内容
- 事業体と非事業体の概念的枠組みと基準設定
- 一般目的の財務諸表:営利目的の企業
- 一般目的の財務諸表:非政府機関、非営利団体
- 公開企業の報告に関するトピック:米国SECの報告義務、1株当たり利益、セグメント報告など
- 従業員給付制度の財務諸表
- 特別目的フレームワーク
FASB(米国財務会計基準審議会)の概念的フレームワーク、FASB(米国財務会計基準審議会)の基準設定プロセス、いくつかの異なる財務報告のトピックをカバーしています。
②財務諸表の勘定科目の選択
「財務諸表の勘定科目の選択」の出題内容は、以下の通りです。
「財務諸表の勘定科目の選択」の出題内容
- 現金および現金同等物
- 売上債権
- 棚卸資産
- 有形固定資産
- 投資
- 無形固定資産-のれんおよびその他
- 支払債務および未払金
- 長期債務:金融負債
- 純資産
- 収益認識
- 株式報酬
- 法人税
FASB(米国財務会計基準審議会)会計基準の財務会計と報告の要件をカバーしています。
③取引の選択
「取引の選択」の出題内容は、以下の通りです。
「取引の選択」の出題内容
- 会計上の変更および誤謬の訂正
- 企業結合
- 偶発事象およびコミットメント
- デリバティブおよびヘッジ会計:例スワップ、オプション、フォワード
- 外貨建取引および外貨建金銭債権債務
- リース
- 一方的譲渡
- 研究開発費
- ソフトウェアコスト
- 後発事象
- 公正価値測定
FASB(米国財務会計基準審議会)会計基準の財務会計と報告の要件をカバーしています。
④州政府および地方自治体
「州政府および地方自治体」の出題内容は、以下の通りです。
「州政府および地方自治体」の出題内容
- 州政府と地方政府の概念
- 包括的年次財務報告書の財務セクションのフォーマットと内容
- 政府全体の財務諸表の作成と調整の必要性
- 典型的な項目と特定のタイプの取引および事象:政府機関の財務諸表における測定、評価、計算および表示
GASB(政府会計基準審議会)の概念的枠組みと、GASB(政府会計基準審議会)の基準と報告書に基づく州政府と地方政府の財務会計と報告書作成の要件をカバーしています。
2021年7月の試験改正により、IFRSとUSGAAPの差異は、USCPAの試験範囲外となりました。
これまでは、USCPAを受ける際に、IFRSの学習も必要でしたが、今後は必要ではありません。
USCPAの試験内容の詳細は、USCPAのBlueprints(ブループリント)に記載されています。
3.BATICとFAR(財務会計)の比較
BATICとUSCPAのFAR(財務会計)の試験内容を比較していきます。
(1)BATICとFAR(財務会計)は全然違う
BATICとFAR(財務会計)の試験内容を見てきましたが、いかがでしょうか?
旧BATICのSubject2(国際会計理論)ですら、FAR(財務会計)をカバーしきれていなかったことが分かると思います。
たとえば、FAR(財務会計)では、企業会計だけではなく、公会計も含みます。
ましてや、新BATICでは、少ししかFAR(財務会計)をカバーできていないことが明らかでしょう。
(2)BATICとUSCPAプログラムの「英文会計入門」が近い
BATICとFAR(財務会計)は全然違いますが、USCPAプログラムの「英文会計入門」は近いと思います。
たとえば、USCPAの予備校のアビタスは、USCPAプログラムのカリキュラムに「英文会計入門」という講義が組み込まれています。
この講義のおかげで、会計の学習をしたことがない人でも、英文会計の基礎知識が身につけられ、USCPAの学習にスムーズに入れるようになっています。
アビタスの「英文会計入門」の内容
- 会計の基本概念と財務諸表
- 貸借対照表とその変化
- 会計の記録方法と会計処理のシステム
- 収益・費用の認識と損益計算書
- 棚卸資産と売上原価
- 固定資産と減価償却
- 負債と株主資本
このUSCPAプログラムの準備段階の「英文会計入門」が新BATICの試験内容と近いと思います。
つまり、BATICは、USCPAのFAR(財務会計)を少ししかカバーできていないけれど、USCPAのFAR(財務会計)を含むUSCPA受験に必要な土台は築けるということでしょう。
(3)BATICは「英語×会計」の勉強が苦手でないか判断するのに役立つ
BATICを勉強したからと言って、USCPAのFAR(財務会計)の大きな足しにはなりません。
単に、USCPAの基礎の基礎が身につくといったところです。
なので、「USCPAを受ける」と既に決めている場合は、BATICの勉強をすることはおすすめできません。
それなら、最初からUSCPAプログラムの「英文会計入門」を受けた方が早いです。
ですが、「USCPAは、英語で会計の勉強をするから大変そう」とUSCPAを受けるか悩んでいる場合は、BATICの勉強から始めても良いと思います。
BATICの勉強は、「英語×会計」の勉強が嫌ではないか、USCPAの勉強をしていけそうかを判断する「リトマス紙」のような役割になるかと思います。
まとめ:BATICとFAR(財務会計)の比較
最初に書いた結論を再度見ていきます。
BATICとUSCPAのFAR(財務会計)を比較した結論
- USCPAの受験前にBATICを学習しても、大したアドバンテージにならない。
- とはいえ、BATICで英文会計の基礎の基礎が学べるので、BATICの学習をしておくと、スムーズにUSCPAの学習が始められる。
- 既にUSCPAを受験すると決めている場合は、最初からUSCPAの学習を始めた方がいい。
- USCPA予備校は、英文会計入門といった講座を用意しているので、英文会計初学者でも心配はいらない。
- USCPAを受験するか迷っている場合は、USCPAの学習に挫折しないかたしかめるために、BATICを先に学習してみてもいい。
BATICでは、USCPAのFAR(財務会計)を少ししかカバーできません。
ですが、BATICの勉強をすることで、USCPAの基礎の基礎は身につきます。
もしUSCPAも受験することにしたら、USCPAプログラムの「英文会計入門」は楽に理解できるので、多少のアドバンテージにはなるでしょう。
BATICの勉強が嫌ではなければ、USCPAの勉強も嫌ではない可能性が高いです。
USCPAの勉強を始めてから、途中で挫折する可能性を減らすためにも、USCPA受験に迷いがあるなら、BATICに寄り道しても良いかと思います。
以上、「BATIC(国際会計検定)とUSCPAのFAR(財務会計)を比較!」でした。
でも、USCPAのFAR(財務会計)の学習で大きなアドバンテージが得られるというわけではないね。
旧BATICだったら、Subject2でハイスコア(少なくともアカウンティングマネージャーレベル)が取れていれば、FARでも有利になったけどね。
新BATICでは、簡単な英文簿記しか出題されないので、BATICの学習からFARの学習に移った場合、そこまでは楽になるわけではないと認識しておいてね。
BATIC(国際会計検定)は2022年11月28日に終了!
BATICは終了してしまったので、USCPA(米国公認会計士)に挑戦することを検討しましょう。
USCPAは受験資格を得るためにもUSCPA予備校のサポートが必要となります。
おすすめのUSCPA予備校はアビタスです。
USCPAになる方法は「USCPAの始めかた」を参考にしてください。
どこの著書『USCPA(米国公認会計士)になりたいと思ったら読む本』も参考にしてくださいね。
USCPA資格の活かしかた・USCPA短期合格のコツを記載しています。