でもどんな資格なのか、いまいちよく分からなくて困ったな。
ビジネス会計検定という資格に興味をもつ人が増えてきているように感じているよ。
どこも、ビジネス会計検定は1級まで勉強した経験があって、ビジネスパーソンにぜひチャレンジしてほしい資格だと思っているよ。
この記事で、ビジネス会計検定について、どんな資格なのか、取ったらどんなメリットがあるのか、どう勉強したらよいのか、まとめて分かりやすくご説明するね。
- 当記事では、ビジネス会計検定の3級と2級を対象としています。
- 1級については触れていませんのでご注意ください。
1.ビジネス会計検定とは?
ビジネス会計検定とは、財務諸表に関する知識や分析力を問う試験です。
よって、「財務諸表理解力検定」とも言い換えられます。
ビジネスパーソンがスキルアップしたいと考える際に、簿記検定と並んでチャレンジすべき資格となっています。
ビジネス会計検定は、2007年から実施されている比較的新しい検定試験で、主催は大阪商工会議所です。
会計関連検定の主催
- ビジネス会計検定:大阪商工会議所
- 簿記検定:日本商工会議所および各地の商工会議所
- BATIC(国際会計検定):東京商工会議所
ビジネス会計検定には1級から3級までありますので、自分が必要だと考えるレベルを選んで知識を深めることができます。
会計や経理部門に所属している人に限らず、すべてのビジネスパーソンにとって必要なビジネスで活かせる知識が身につけられるのが、ビジネス会計検定のメリットです。
ビジネス会計検定の勉強を通して、ビジネスパーソンが知っておきたい知識が身につけられる!
2.ビジネス会計検定と簿記検定の違い
簿記検定と並んでチャレンジすべき資格と言いましたが、そうなるとビジネス会計検定と簿記検定の違いが気になるのではないでしょうか。
(1)ビジネス会計検定と簿記検定の出題の違い
簡単に言ってしまうと、簿記検定は「財務諸表を作成するまで」、ビジネス会計検定は「財務諸表を作成してから」が問われます。
参照先:ビジネス会計検定 受験要項
簿記検定とビジネス会計検定の違い
- 簿記検定:日々の取引を記録し、財務諸表を作成する。
- ビジネス会計検定:財務諸表を分析し、企業の財務状況を把握する。
ちなみに、財務諸表というのは、以下の3つを指します。
財務諸表
- 貸借対照表
- 損益計算書
- キャッシュ・フロー計算書
簿記検定については、以下のように理解すると良いでしょう。
- 1級:公認会計士・税理士などの国家資格へステップアップするための知識が身につけられる。大企業で働く経理担当者に必要な知識が身につけられる。
- 2級:大企業で働くビジネスパーソンに必要な知識が身につけられる(原価計算などの知識も身につけられる)。
- 3級:あらゆるビジネスパーソンに必須の基礎知識が身につけられる。
会計の専門家になるのではなければ、2級まで合格しておけば安心です。
(2)ビジネス会計検定に簿記の知識は必要か?
簿記の知識がなくても、ビジネス会計検定の学習はできます。
ですが、簿記の知識があった方が、勉強がスムーズに進むでしょう。
ビジネス会計検定も「会計」の検定ですので、財務諸表を作成するための仕訳などは出題はされませんが、会計処理の出題はされます。
会計初学者の方は、簿記検定3級の学習をして会計処理の基礎を学び、それからビジネス会計検定3級に取り組んだ方が理解しやすいです。
ビジネス会計検定に簿記の知識は必要?
- 簿記検定は、財務諸表を作成するまでのプロセスの理解を問うもの。
- ビジネス会計検定は、財務諸表に関する知識や分析力を問うもの。
- 財務諸表がどのようにできるのか理解しているほうが、財務諸表の分析がしやすい。
- 簿記検定3級の学習をしてから、ビジネス会計検定3級にチャレンジしたほうがスムーズ。
3.ビジネス会計検定の取得メリット
ビジネス会計検定は、どのような人にどう役立つのでしょうか。
ビジネス会計検定取得のメリット
- ビジネスパーソン:勤務先・取引先の財務分析をすることで、将来性や倒産のリスクなどが把握できる。
- 財務・経理担当者:作成した財務諸表の財務分析ができる。
- 経営者・管理職:投資や与信の判断ができる。
- 投資家:資産運用で投資先の財務分析ができる。
- 就活生・転職希望者:応募先企業の財務分析ができるようになり、履歴書に「ビジネス会計検定合格」と記載しアピールできる。
- 公認会計士・税理士受験希望者:ビジネス会計検定で身につけた知識を基に、さらなる専門資格にチャレンジできる。
会計情報に関する知識・スキルは、色々な場面で役立ちます。
また、ビジネス会計検定という資格を持っていれば、就職や転職で評価されます。
さらに、株式投資においても、財務分析ができると投資判断で大きな武器となるでしょう。
4.ビジネス会計検定の受験要項
ビジネス会計検定を受験するにあたって知っておきたい情報をお伝えします。
受験資格 |
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試験日程 |
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試験時間 |
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受験地 | 以下の中から、希望の受験地を選ぶ。
札幌、仙台、さいたま、東京、横浜、新潟、金沢、静岡、名古屋、京都、大阪、神戸、岡山、広島、山口、松山、福岡 |
受験料 |
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受験当日の持ち物 |
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ビジネス会計検定は、基本的には誰でも受験できます。
とはいえ、試験日は年に2回ですし、受験地も大都市に限られていますので、受験のハードルは少し高めです。
受験時間は2級は午前中、3級は午後となっており、3級と2級を同日に受験することが可能であるのがポイントです。
また、計算用紙は持ち込みはできず、試験開始前に配布されます(3級:A4用紙1枚、2級:A3用紙1枚)。
5.ビジネス会計検定の過去の受験者データ
ビジネス会計検定の過去の受験者データをまとめると以下のようになります。
第1回から29回 | 3級 | 2級 |
申込者総数 | 96,634人 | 56,760人 |
実受験者数 | 77,393人 | 40,748人 |
合格者数 | 48,483人 | 16,703人 |
合格率 | 62.6% | 41.0% |
ビジネス会計検定3級の合格率は62.6%、2級の合格率は41.0%です。
よって、難易度はそこまで高くないと言えます。
せっかく申し込んでも、実際に受験しなかった人が20%から30%くらいはいるようです。
受験しなかった理由は分からないのですが、勉強が間に合わなかったので受験しないなどということにはならないようにしたいですね。
6.到達目標・出題範囲
ビジネス会計検定の3級と2級の到達目標と出題範囲をご説明します。
3級から勉強をしたほうがよいか、2級から勉強しても大丈夫そうか、判断をするのに役立ててください。
(1)ビジネス会計検定3級の到達目標・出題範囲
ビジネス会計検定3級の到達目標は、以下の通りです。
ビジネス会計検定3級の到達目標
会計の用語、財務諸表の構造・読み方・分析等、財務諸表を理解するための基礎的な力を身につける。
参照先:ビジネス会計検定 受験要項
ビジネス会計検定3級の出題範囲は、以下の通りです。
ビジネス会計検定3級の出題範囲
(1)財務諸表の構造や読み方に関する基礎知識
- 財務諸表とは
- 貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の構造と読み方
(2)財務諸表の基本的な分析
- 基本分析
- 成長率および伸び率の分析
- 安全性の分析
- キャッシュ・フロー情報の利用
- 収益性の分析
- 1株当たり分析
- 1人当たり分析
ビジネス会計検定3級は、財務諸表の見方をマスターして、決算書の数字に強くなることを目標とすると良いでしょう。
利益率や回転率などの基本的な指標を押さえるようにします。
(2)ビジネス会計検定2級の到達目標・出題範囲
ビジネス会計検定2級の到達目標は、以下の通りです。
ビジネス会計検定2級の到達目標
企業の経営戦略や事業戦略を理解するため、財務諸表を分析する力を身につける。
参照先:ビジネス会計検定 受験要項
ビジネス会計検定2級の出題範囲は、以下の通りです。
ビジネス会計検定2級の出題範囲
(1)財務諸表の構造や読み方、財務諸表を取り巻く諸法令に関する知識
- 会計の意義と制度
- 連結財務諸表の構造と読み方
(2)財務諸表の応用的な分析
- 基本分析
- 安全性の分析
- 収益性の分析
- キャッシュ・フローの分析
- セグメント情報の分析
- 連単倍率と規模倍率
- 損益分岐点分析
- 1株当たり分析
- 1人当たり分析
ビジネス会計検定2級は、財務諸表から多くの情報を読み取れるようになることを目標とすると良いでしょう。
応用的な分析指標も押さえるようにします。
ビジネス会計検定の3級と2級の出題範囲
- ビジネス会計検定3級:個別財務諸表の構造や読み方の知識、財務諸表の基本的な分析
- ビジネス会計検定2級:連結財務諸表の構造や読み方と関連法令の知識、財務諸表の応用的な分析
3級では個別財務諸表、2級では連結財務諸表が出題範囲となります。
7.ビジネス会計検定の出題形式と出題例
ビジネス会計検定の出題形式は、3級と2級のどちらも、マークシート方式の選択問題で、100点満点中70点以上で合格となります。
ビジネス会計検定の出題例は、以下のようになります(3級の問題です)。
参照先:ビジネス会計検定 受験要項
選択肢が4つ用意されており、4つの選択肢の中から1つを選んで、マークシートで解答すればよいことが分かっていただけると思います。
第28回のビジネス会計検定検定(2021年3月14日)から抜粋された、公式の過去問はこちらです。
8.ビジネス会計検定の勉強法
ビジネス会計検定の勉強法ですが、大きく分けると独学するのと予備校に通うのと2つに分かれます。
(1)独学する
ビジネス会計検定は、独学でも学習可能です。
公式テキストと公式問題集を購入しましょう。
勉強法は非常にシンプルですが、「テキストを読み、問題を解く」ということになります。
ただ、この公式問題集は、解説が十分とは言えないため、もしかしたら解答がまちがっているときに、少し悩むかもしれません。
勉強時間は、ビジネス会計検定3級は1ヶ月、2級は2ヶ月くらいは確保しておくといいでしょう。
(2)予備校に通う
独学だと非効率なので、予備校に通って学習を進めるのも良いと思います。
予備校に通う場合、おすすめなのは 資格の学校TAC です。
ビジネス会計検定の公式サイトでは、他にも2つの学校(弥生カレッジCMC と ヒロ・ビジネス・スクール)が紹介されていますが、情報のアップデートなどの面で不安があります。
よって、簿記検定でも実績のある大手予備校の 資格の学校TAC の一択になると思います。
ちなみに、資格の学校TAC でも、公式のテキストを使用しての講義となります。
ですので、公式テキストと公式問題集を購入し独学してみて、難しそうならば 資格の学校TAC の講座を受講することにしてもよいでしょう。
ビジネス会計検定3級講座は、160分の講義が5回、ビジネス会計検定2級講座は、120分の講義が8回となっています。
講義に加えて、TACオリジナル教材(トレーニング)、実力テスト、質問カード・質問メールなどのフォロー制度があるので心強いです。
以上、「ビジネス会計検定とは?簿記検定と何が違う?取るメリットは?どう勉強すればいい?」でした。
TACの講座を利用して、簿記検定3級と併せて勉強すると相乗効果があって良さそうだな。
ビジネス会計検定3級と同時に、簿記検定3級にもチャレンジしてもよし、ビジネス会計検定の2級にもチャレンジしてもよし。
ビジネス会計検定3級合格後に、中小企業診断士などのビジネス資格にもチャレンジしてもよし。
英語でビジネス知識が身につけたければ、USCPA(米国公認会計士)にもチャレンジしてもよし。
さっそくビジネス会計検定の公式テキストや公式問題集を購入したり、TACにビジネス会計検定講座の資料請求をしてみてね。