外資系企業の求人に応募しようとしたら、Job Description というのを提示されたよ。
Job Description とは何なのか、どう取り扱えばいいのか知りたいよ。
Job Description というのは、職務記述書のことだと思うけど、外資系企業に応募した際だけではなく、入社後にもよく参照していたよ。
Job Descriptionとはどんなものか、どんなことに気をつけたらいいか、ご説明していくね。
1.Job Description(職務記述書)とは
Job Description(ジョブディスクリプション)は、職務記述書のことで、「職務の内容を詳しく記述した文書」です。
略してJD(ジェイディー)と呼ばれることもあります。
ある職種で担当する業務内容、業務範囲、必要な資格・スキル、評価方法などが書かれており、採用や人事評価をする際に利用されます。
外資系企業では、職種ごとにJob Descriptionが作成され、従業員を雇う場合に、募集する職種のJob Descriptionを応募者に示します。
一方、日本企業は、みんなでひとつの作業を完成させるという文化で、どちらかというと作業マニュアルが作成されます。
求職者は、Job Descriptionを読み込みます。
応募する企業が、どんな人材を求めているのか、どんな能力を求めているのかが分かるからです。
そして、応募するかどうかを決めます。
応募すると決めた場合、Job Descriptionを基に、どのように自分の経験やスキルをアピールするのか戦略を練ることになります。
2.Job Descriptionに記載されていること
Job Descriptionは、どのようなことが記載されているのか見ていきましょう。
(1)Job Descriptionの項目
Job Descriptionの項目は、以下のような場合が多いです。
Job Descriptionの項目例
- ポジション名
- 部署・チームの詳細
- 責任や権限の範囲
- 具体的な職務内容
- レポートライン
- 必要とされる資格・スキル(必須要件)
- 歓迎される資格・スキル(歓迎要件)
- 給与・待遇
- 勤務地・勤務形態
資格・スキルについては、「必須要件」と「歓迎要件」に分けられていることがあります。
「必須要件」は、企業が応募者に対して必ずもっていてほしいと考える資格・スキルです。
「必須要件」を満たしていないと、せっかく応募しても書類選考を通過するのが難しいです。
「歓迎要件」は、あれば歓迎ということで、「尚可」「優遇」と表記されていることもあります。
年齢が高めの場合(30代半ば以上くらいの場合)は、できるだけ多く歓迎要件を満たしている方が、書類選考を通過する可能性が高くなるでしょう。
(2)Job Descriptionのサンプル
以前どこが米国企業でAccountantとして勤務していた時のJob Descriptionを例としてご紹介します。
たとえば、米国の会計分野のJob Descriptionが見たければ、Find a Jobも参考になります。
Job Descriptionのサンプル(Accountantの場合)
Job Role: Executive Accountant
Location: Tokyo, Japan
Salary: Starting in the mid 100’s plus benefits
Contract Type :Permanent
Hours: Full Time
Level of Qualification: Degree
Reporting Relationships: Mr. A, Regional Controller
Job Duties & Responsibilities
- Prepare and Post Journal Entries
- Perform Bank Reconciliation
- Perform GL Reconciliation
- Confirm Intercompany Balance
- Perform Month-end, Quarter-end and Year-end Closing Activities (e.g. update Peg Rate, AP/AR Revaluation, Roll-over Period)
- Prepare Monthly Financial Statement- Income Statement and Balance Sheet
- Prepare Tax Package and Submit to Tax Department Quarterly
- Develop and Maintain Appropriate Accounting Policies and Procedures to improve the effect and efficiency of accounting and control functions
- Ensure the statutory accounts are properly prepared and are in requirements and also Liaison with external auditors for preparation of audited accounts
- Prepare data for tax consultant to complete Tax Filing
- GAAP Compliance
- Sarbanes-Oxley Compliance
- Global Accounting Policy Compliance
- Input figures and Validate Data for required reports- Monthly/Quarterly/ Yearly Reports
- Ad hoc– Request from Finance Director/Regional Controller/Corporate
Qualifications
- Bachelor Degree in Accounting and/or CPA (or local equivalent)
- Japanese Nationality, Any ages, M/F
- 5 year plus in Financial Accounting Role
- Previous Experience in Consolidation
- Previous Experience in a Multi-national Organization preferable
- Previous Experience in Trade Finance (Letter of Credit, Bid Bonds, Shipping Terms etc.)
- Experience in Statutory Reporting & Compliance
Specific Abilities
- Has a good command of English and Coordinate well with other Partners
- Internal Audit Ability
- Strong Organizational Skills
- Communication Skills with all levels of Management, including non-accounting Personnel
- Advanced Spread Sheet Skills
- Written and Spoken English
- Staff Supervision
Job Descriptionの内容は、Job Duties & Responsibilities、Qualifications、Specific Abilitiesの記載がメインでした。
Salaryはいくら以上とざっくりした提示で、さらにPosition Titleもはっきりとは決まっておらず、候補者がどのレベルかによって決めようとしているようでした。
会計学を専攻していた人か公認会計士(どの国の公認会計士でもOK)を募集していましたが、全部が完璧にできる人はいないので、自信のない項目があっても応募可能でした。
Has a good command of English については、英語でのやり取りが多く発生するため、思ったより高い英会話力が求められました(入社後も大変でした)。
どのレベルの英語力が求められるか、よく確認した方がいいと思います。
米国企業で、アメリカ人との面接でしたので、英語力はTOEICのスコアではなく、面接の受け答えや、職務経歴書の英文で判断されました(TOEICのスコアで判断されるのは、日本企業や韓国企業くらいです)。
求められていたのは、TOEIC満点以上のレベル(TOEICではもはや測れないレベル)だったように思います。
どこの場合、TOEIC満点には及ばないレベルでしたが、他の10名ほどの候補者より英語でのコミュニケーション力はあったようで、「良」ではなく、かろうじて「可」で採用してもらえた気がします。
注意した方が良かったと後々思ったのは、Ad hoc つまり「リクエストがあれば対応する」というものです。
どこの場合、この Ad hoc の確認が甘かったため、入社後に自分が想定していなかった業務が押し寄せてしまいました。
どんな業務が期待されているのか、雇用契約を結ぶ前にしっかり確認した方がいいと思っています。
この反省を踏まえ再度転職活動をした際、Ad hoc を追及しました。
「1つ1つ挙げられるなら書いてる」と逆切れされましたので、ほどほどにしたほうがいいかもしれません。
3.Job Descriptionについて気を付けること
Job Descriptionについて気を付けることを挙げていきます。
Job Descriptionについて気をつけること
- 分からないことは必ず確認すること
- 職種名だけで業務を判断しないこと
- 自分が望む仕事なのか見極めること
(1)分からないことは必ず確認すること
外資系転職では、Job Descriptionを理解してから応募することが大切です。
分からないところがあったら、直接応募企業に質問するか、転職エージェントを通して確認をしたほうがいいです。
外資系企業では、企業独自の用語を使っている場合が多く、外部のあなたでは何のことか分からないことも多いです。
よって、分からなくて質問するのは、恥じることではありません。
Job Descriptionを基に、職務経歴書を作成したり、面接を受けることになるので、分からないことを放置してはいけません。
応募者は、Job Descriptionを正確に理解し、企業が求めている経験やスキルについては、職務経歴に詳しく書き、面接でもアピールする必要があります(反対に求めていないことは、さらっと流していいでしょう)。
(2)職種名だけで業務を判断しないこと
職種名が経理職だとしても、どんなことをするのか、業種や企業の規模によって異なります。
安易にJob Descriptionに書かれた職種名だけで判断しないようにしましょう。
例えば経理職で考えてみても、小売業、サービス業、製造業では、必要となる経理業務が違います。
また、大企業であれば細かく担当業務が分かれていますが、中小企業では経理担当者が一人で、経理業務を全部担当することになるかもしれません。
さらに、経理業務(経理部)と財務業務(財務部)の区分けが企業によって違ったり、そもそも経理部と財務部に分かれていないこともあります。
所属することになる部署の組織体制や人員構成などをしっかり確認すべきですが、Job Descriptionに書かれていないかもしれなません。
書かれていない場合は、直接応募企業に質問するか、転職エージェントを通して確認をしたほうがいいでしょう。
(3)自分が望む仕事なのか見極めること
Job Descriptionを繰り返し読んで、自分が望む仕事なのかよく考えましょう。
Job Descriptionに必ずと言っていいほど記載されている、「その他の必要業務」もクリアにしましょう。
前述しましたが、どこの場合は、この「その他の必要業務」(Ad hoc)の確認不足で、入社後に想定していなかった業務もすることになりました。
もはや最初に聞いていた業務とは全く関係ない、自分にとってスキルの向上につながらない業務が増え、他の企業に転職しました。
「その他の必要業務」が全体の業務にどう関係しているのか、どのくらいの時間配分が想定されているのかしっかりと確認しましょう。
明確に箇条書きで記載されている業務だけではなく、採用側が暗に期待している業務も、できる限り明確にし、自分が望む仕事なのか判断しましょう。
4.Job Description(職務記述書)まとめ
Job Descriptionから職務内容や待遇などについて情報を得て、自分のこれまでの経験やスキルと親和性はあるか、希望に沿っているかなどを検討し、応募するか決めましょう。
すべての情報をJob Descriptionから得るのは難しいので、少しでも疑問があれば、直接企業に問い合わせたり、転職エージェントに確認してもらいましょう。
分からないまま職務経歴書を作成したり、面接を受けたり、雇用契約を結ぶのはやめましょう。
Job Descriptionを検討した結果、応募したいということになれば、応募企業が求めていることに合わせて、志望動機や自己PRなどを考えていきましょう。
以上、「Job Description(職務記述書)の読み方で外資系転職の成功が決まる!」でした。
職務が明確ではないということは、キャリアパスもキャリアゴールもあいまいで、キャリア形成が難しくなるよ。
Job Descriptionは、採用時だけではなく入社後もキャリア形成という点で重要だと認識しておこうね。
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