収益認識基準を理解するように上司に言われたけど、日本語と思えないほど難解で、理解できなくて困ったな。
収益認識基準はイメージしにくく、実務レベルでどのように適用するか議論になっているよ。
専門書を読んでも、最初は難しくて理解できないかもね。
宮沢賢治の童話『注文の多い料理店』を題材にした『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』が、収益認識基準の入門書としてわかりやすいから、ご紹介するね。
どこは『USCPA(米国公認会計士)になりたいと思ったら読む本』を出版していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
USCPA資格の活かし方やUSCPA短期合格のコツを記載しています。
まだUSCPAの勉強を始めていない場合は「USCPAの始めかた」も参考にしてください。
はじめに:『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』で収益認識基準を理解!
収益認識基準の理解に苦しんでいる人、朗報です!
めちゃくちゃ分かりにくい収益認識基準を、めちゃくちゃ分かりやすく説明してくれている本が出ました。
それは『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』です。
めちゃくちゃオススメなので、『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』について紹介していきますね。
1.『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』とは
『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』は、早稲田大学教授であり公認会計士の金子裕子氏と、公認会計士であり税理士の植野和弘氏の共著です。
『注文の多い料理店』は、ご存知のとおり、宮沢賢治の代表作の一つである童話です。
そして、収益認識会計は、難解で理解しにくいと言われている会計基準です。
この「童話」と「会計基準」という、一見まったく関係なさそうな2つをコラボさせたのが『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』なのです。
題名を読んだだけで興味をそそられますし、コック姿の猫が手に契約書を持っている表紙の絵を見てジャケ買いしたくなりますよね。
理解しやすくするための工夫として児童文学的な要素を取り入れていますが、収益認識基準をしっかりと解説している内容の濃い専門書に仕上がっています。
「童話×会計基準」のコラボ。難解な収益認識基準を楽しく理解させる本。
(1)『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』の内容
山猫社長が営む山猫軒を舞台に、物語(全27話)を通して、収益認識会計基準を学んでいけます。
物語は、4つのビジネスに大きく分かれています。
『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』で取り扱われるビジネス
- レストラン
- 食品販売
- 建設
- 料理教室
「レストラン山猫軒」を中心に、「イーハトーヴ・カレー」というレトルトカレー、カレーの付け合わせの福神漬け、「レストラン山猫軒」のパティシエが作るクッキーなどを販売し、それに関わる収益認識が取り上げられます。
そして、山猫社長の親友が経営する建設業に関するアドバイスまでします。
さらには、「山猫クッキングスクール」という料理教室の入会金、書籍・料理レシピ・動画の販売などに関わる収益認識など、取り扱いは幅広いです。
『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』で取り扱われる主な論点
レストラン
- 割引クーポンが使用された場合
- クレジットカードや電子マネーで支払われた場合
- コース料理とクッキーがセット販売された場合
- お食事券を販売した場合
- ポイントカードを発行(自社でポイントを付与)した場合
- 他社が発行するポイントを付与した場合
- ランチ代を出世払いにしてあげた場合
- 弟子のシェフたちにフランチャイズのライセンスを与えた場合
- サブスクリプション(定額制レストラン)を始めた場合
食品販売
- レトルトカレーを一定数以上販売したスーパーへ、リベートを払う場合
- 福神漬けを消化仕入で販売する場合
- クッキーを有償支給取引する場合
- クッキーをインターネット販売する場合
- レトルトカレーを海外に輸出する場合
建設
- 大型機械の販売と据付の案件を請け負った場合
- 大型機械の販売契約に、お客様が任意で保証を付けた場合
料理教室
- 料理本を出版する場合
- クッキングスクールの入会金が入金された場合
- 料理レシピや動画を販売する場合
フランチャイズ、今はやりのサブスクリプションレストラン、料理の動画サービス提供といったコンテンツビジネスと、さまざまなビジネス形態が取り上げられているのが面白いです(山猫社長は、本当にやり手です)。
色々なシーンを設けて、収益認識基準の論点を広くカバー。
(2)『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』の特徴
ストーリー仕立てで、会計処理が解説されていきます。
『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』の特徴
- 登場人物の会話:収益認識基準が適用されるシーンをイメージ
- 要点スケッチ:会計処理の重要ポイントを理解
- 会計基準の解説:会計基準を理解
- 税務の取り扱い:法人税と消費税の取り扱いを理解
- 設例:仕訳と図解で具体的な処理を理解
まずは、収益認識基準がどのような場面で適用されるのかをイメージし、ポイントを把握します。
その後、会計基準で深く理解し、さらに、設例で実務に対応できるようになるという構成になっています。
ステップを踏みつつ、全27話の物語を読み終えると、難解だった収益認識基準が理解できるようになっているというわけです。
ステップを踏んで理解する工夫が多数あり。
2.収益認識基準について補足説明
収益認識基準に関して、基礎的な知識を補足しておきます。
(1)収益認識の会計処理の世界的統一
収益認識は、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)が共同開発した会計基準であり、世界中で収益認識の会計処理が統一されようとしています。
これまで日本には、収益認識に関する包括的な会計基準がありませんでした。
企業会計原則に「実現主義の原則による」という記載があるのみでした。
ですが、この流れで、国際財務報告基準(IFRS)の規定を翻訳したものを採用することになりました。
それが企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」で、2021年4月1日以降に始まる事業年度から適用となります。
会計基準(GAAP) | 収益認識の会計基準 |
国際財務報告基準(IFRS) | IFRS 第15号「顧客との契約から生じる収益」 |
米国会計基準(USGAAP) | ASC Topic606「顧客との契約から生じる収益」 |
日本の会計基準(JGAAP) | 企業会計基準 第29号「収益認識に関する会計基準」 |
IFRS 第15号と企業会計基準 第29号は、内容は同じだと考えていいでしょう。
世界中で収益認識が統一され、収益の比較ができるようになる。
(2)日本の収益認識基準
この収益認識基準により、何が変わるのでしょうか。
今までは、「収益は、原則、実現主義により認識をする」ことになっていました。
ですが、今後は、「契約のある取引については、実現主義に優先して収益の認識をする」ことになります。
ちなみに、収益認識基準は、通常の営業取引による収益が適用範囲となり、営業外収益や特別利益に属する損益には影響はありません。
収益認識基準の会計処理としては、「履行義務」と収益認識の「5つのステップ」が理解すべき大切な概念となります。
収益認識のタイミング
- 今までは、「収益は実現したときに認識」
- 今後は、「収益は履行義務を充足したときに認識」
履行義務:財またはサービスを顧客に移転する約束
履行義務の充足:約束を果たすこと
収益認識のステップ
5つのステップで、収益を認識・測定する。
- 契約の識別
- 履行義務の識別
- 取引価格の算定
- 取引価格の配分
- 収益の認識
5つのステップは、収益の「認識単位」「認識金額」「認識時期」の3つの要素を明確にするための考え方。
収益認識基準については、ここではこれ以上深く触れません。
『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』を読むとよく理解できますので、ぜひ読んでみていただきたいです。
以上、「【おすすめ本】『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』で収益認識基準を理解!」でした。
収益認識基準の理解もできたよ。
「注文の多い」収益認識基準は、味わい深かったでしょう。
これで収益認識基準の基礎知識は得られたから、もう少し難しい専門書も読んで、もっと理解を深めてみてね。
まず、『注文の多い料理店で学ぶ収益認識会計』を読んでみてください。
それから、収益認識基準に関して、このような本で理解を深めてください。