米国の上場企業をメインに応募する予定なんだけど、どのように企業研究をしたらいいのか知りたいな。
米国の上場企業への転職の際、面接を受ける前に、応募先企業を理解するため色々と調べたよ。
どのように米国の上場企業について調べるといいのか、解説していくね。
1.米国の上場企業の情報は、何から得る?
米国の上場企業の情報を得るには、10-Q(四半期報告書)や 10‐K(年次報告書)を確認するのが良いでしょう。
どちらの報告書も、米国の上場企業は、米国の証券取引委員会であるSEC(Securities and Exchange Commission)に届け出る義務があります。
米国の上場企業の情報
- 10‐Q(四半期報告書):年度決算期に提出義務のある報告書
- 10-K(年次報告書):第1、第2、第3四半期に提出義務のある報告書
- 8-K(臨時報告書):重大な事象が発生した場合に提出義務のある報告書
8‐K(臨時報告書)もありますが、重大な事象が発生した場合に作成されるものであり、絶対作成されるわけではありません。
よって、応募先企業の最新の10-Q(四半期報告書)と 10‐K(年次報告書)を入手し、財務状況や経営状況を確認しましょう。
(1)10-Q(四半期報告書)
10‐Q(四半期報告書)は、四半期決算後40日または45日後に届け出る義務があります。
10-Q(四半期報告書)は、四半期ごとに届け出ます。
1Q(第1四半期)、2Q(第2四半期)、3Q(第3四半期)の報告書がありますが、4Q(第4四半期)は、10-K(年次報告書)に含めるので存在しません。
10‐Q(四半期報告書)は、2つのパートから構成されています。
10-Q(四半期報告書)の構成
- Part1:財務内容
- Part2:そのほかの情報
特に、Part1の「Management’s Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Operation」の中の「Quarterly Highlights」はよく確認するといいでしょう。
(2)10-K(年次報告書)
10‐K(年次報告書)は、会計年度終了後90日以内に届け出る義務があります。
10‐Q(四半期報告書)の内容を含んだ構成となっています。
米国の上場企業の情報は、10-Q(四半期報告書)と 10‐K(年次報告書)で確認しましょう。
2.10‐Qや10-Kは、どうやって確認する?
10-Q(四半期報告書)や 10‐K(年次報告書)は、どうやって確認をするのでしょうか?
確認方法は2つあります。
10-Q(四半期報告書)と 10‐K(年次報告書)の確認方法
- 応募先企業のサイトの「Investor Relations」
- EDGAR(エドガー)
(1)企業サイトの「Investor Relations」
応募先企業のサイトで報告書が確認できます。
「Investor Relations」などと記載されているページに記載されていることが多いです。
例えば、Apple Inc.の場合は、「Investor Relations」のFinancial Dataに10-Q(四半期報告書)や 10‐K(年次報告書)が記載されています。
(2)EDGAR(エドガー)
SEC(Securities and Exchange Commission:米国の証券取引委員会)の下部組織のEdgar Business Officeが運用するシステムで報告書が確認できます。
米国では、EDGAR(エドガー)と呼ばれるオンラインのデータベースがあり、上場企業の報告書が24時間無料で自由に閲覧できるようになっています。
EDGAR(エドガー)とは、Electronic Data Gathering, Analysis and Retrieval (電子データ収集・分析・検索)の略です。
ちなみに、日本の金融庁が管理しているEDINET(エディネット)は、EDGAR(エドガー)をモデルにしています。
EDGAR(エドガー)で報告書を探すには、企業名、ティッカー(日本株の銘柄コードのような個々の銘柄を識別するためにつけられた記号)、CIKコード(米国証券取引委員会が発給するコード)などを入力するだけです。
いつの、どの報告書が必要なのか指定して入手可能です。
具体的に、Apple Inc.(AAPL)の10-QをEDGAR(エドガー)で閲覧してみましょう。
①EDGAR(エドガー)にアクセス
②検索ボックスに会社名を入力
例えば、Apple Inc.と入力します。
③必要な報告書の種類や期間を入力
例えば、2021年の10-Q(四半期報告書)と指定します。
④該当する報告書が表示
例えば、該当する報告書が3つ表示されました。
➄見たい報告書のリンクをクリック
見たい報告書のリンクをクリックします。
開いて見たければ、Open documentをクリックします。
10-Q(四半期報告書)や 10‐K(年次報告書)は、応募先企業のサイトの「Investor Relations」かEDGAR(エドガー)で入手しましょう。
3.Quarterly Highlightsの確認方法
10-Q(四半期報告書)では、Part1の「Management’s Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Operation」の中の「Quarterly Highlights」はよく確認するといいとお話ししました。
どのように確認するのか見ていきましょう。
(1)Table of Contentsで内容を確認
Table of Contentsで内容を確認します。
PartⅠのItem2が「Management’s Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Operation」ということが分かります。
(2)MD&Aのリンクをクリック
Item2の「Management’s Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Operation」の中に「Quarterly Highlights」が見つかります。
ただし、面倒であれば「Quarterly Highlights」で検索してもいいでしょう。
「Management’s Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Operation」の中の「Quarterly Highlights」は大事なので確認しましょう。
4.財務諸表を確認する際の注意点
10-Q(四半期報告書)と 10‐K(年次報告書)に限りませんが、財務諸表を確認する際の注意点として3点ご説明します。
財務諸表を確認する際の注意点
- 決算期はいつか
- 単位はいくらか
- 連結財務諸表か単体財務諸表か
(1)決算期はいつか
決算期は必ずチェックしましょう。
英語で決算期は、Accounting Period(またはTerm)やFiscal Period(またはTerm)などと呼ばれます。
BS(Balance Sheet:貸借対照表)は、年度末時点での財務状況です。
2022年の会計年度末でのBSの場合は、「As of December 31st, 2022」などと表記します。
四半期決算の場合は、「Three months ended December 31st, 2022」などと表記します。
PL(Profit and Loss Statement:損益計算書)は、1年間の活動の数値を示します。
2022年の会計年度のPLの場合は、「Fiscal year ended December 31st, 2022」などと表記します。
(2)単位はいくらか
10-Q(四半期報告書)と 10‐K(年次報告書)の場合は、通貨は米ドル(USD)だと思っていいでしょう。
ですが、円(JPY)なのか、米ドル(USD)なのか、ユーロ(EUR)なのかなど、確認するクセをつけておくといいでしょう。
また、財務諸表の数値の単位が、百万円なのか、千円なのか、百万米ドルなのか、100万ユーロなのかも気をつけましょう。
たとえば、百万米ドル単位の場合は「dollars in millions」と表記されています。
(3)連結財務諸表か単体財務諸表か
日本では単体財務諸表は開示されますが、海外の多くの国では外部に開示されないことが多いです。
ですが、連結財務諸表なのか、単体財務諸表なのか、確認するクセをつけておくといいでしょう。
連結財務諸表は、「Consolidated Financial Statements」と呼びます。
また、「Group Financial Statements」と呼ぶ企業もあります。
単体財務諸表は、「Parent-only Financial Statements」と呼びます。
また、「Unconsolidated Financial Statements」や「Stand-alone Financial Statements」と呼ぶ企業もあります。
財務諸表を確認する際は、決算期、単位、連結か単体かの3点に注意しましょう。
以上、「【米国上場企業の場合】外資系への転職で応募先企業を理解するコツ 」でした。
少なくとも、直近の報告書を読んでおくと、面接などで困らないと思うよ。
特に、MD&A(Management’s Discussion and Analysis)はしっかり確認しておいてね。
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