AICPAのBlueprints(ブループリント)って読んだ方がいいと聞くけど、それはいったい何で、なぜ読むといいのか知りたいよ。
Blueprints(ブループリント)は、AICPA(米国公認会計士協会)が作成したもので、USCPA受験生の試験準備をサポートしてくれるもの。
USCPA試験に効率的に合格するには必読だよ。
Blueprintsとはどんなもので、何が分かって、どう使ったらいいのか利用法と注意点を説明するね。
USCPAのBlueprints(ブループリント)とは?何が分かる?利用法と注意点
USCPA試験のBlueprints(ブループリント)について解説します。
USCPA受験生やUSCPA予備校から「Blueprints(ブループリント)」という言葉がよく出てくると思います。
ちなみに「Blue Prints」と分けて書く人がいますが「Blueprints」で一語です。
Blueprints(ブループリント)は全科目のBlueprintが集まっているので複数形。
1科目だけを指す場合は「Blueprints」ではなく「Blueprint」です。
旧USCPA試験(2023年12月まで)では「Blueprints(ブループリント)なんて見なくても合格できる」と言っているUSCPA合格者が多かったように思います。
たしかに、USCPA予備校の教材は、既に実績やノウハウが積み重なって教材ができあがっていたので、教材さえこなせば合格できたでしょう。
ですが、新USCPA試験(2024年1月から)になって、まだUSCPA予備校であっても試験情報・試験実績が少ないです(これはアメリカのCPAコースのプロバイダーも同じです)。
なので、自分で「Blueprints(ブループリント)」を読んで情報を取りに行く姿勢が求められると思っています。
こんなポストをX(旧Twitter)でみかけましたが、USCPA試験のBlueprintsはめちゃくちゃ大事ですね。
4科目目にして初めてしっかりblueprint読む。当たり前だけど、めちゃくちゃ大事じゃないか😳
予備校では、各項目をまとめand和訳(分量が圧倒的に少なくなるから見やすい)してテキストとの対応表作って配布した上で、各章の授業始める際にこの部分やりますよーと案内した方がいいのでは?
— Krassimira D@USCPA勉強中 (@Krassi_Decheva) April 1, 2024
ちなみに、アビタスであれば、新USCPA試験についてBlueprintsと教材の対照表が用意され、受講生サイトに掲載してありますよ。
(1)Blueprintsの解説
各科目のBlueprint解説をご用意しました。
自分でBlueprints(ブループリント)を読む時間がないという方、全体像が知りたいという方は活用してください。
新USCPA試験(2024年1月から12月まで)と旧USCPA試験(2023年12月まで)とあります。
新USCPA試験(2024年1月から12月まで)のBlueprint解説
- 【FAR】新USCPA試験のFARのBlueprint解説
- 【AUD】新USCPA試験のAUDのBlueprint解説
- 【REG】新USCPA試験のREGのBlueprintの解説
- 【BAR】新USCPA試験のBARのBlueprintの解説
- 【ISC】新USCPA試験のISCのBlueprintの解説
- 【TCP】新USCPA試験のTCPのBlueprintの解説
旧USCPA試験(2023年12月まで)のBlueprint解説
旧USCPA試験のBlueprintsについては、新USCPA試験のBlueprintsと比較したい場合に活用してください。
(2)Blueprintsのオリジナル
Blueprints(ブループリント)のオリジナルも確認したければこちらから。
AICPAのサイトにリンクがありますが、過去のは探しにくい(あるいは、新しいのが出て消されてしまった)ので、こちらをご活用ください。
新USCPA試験(2024年1月以降)の2025年バージョンと2024年バージョン、旧USCPA試験(2023年12月以前)の2020年バージョン(2021年に改訂)があります。
2025年1月からのBlueprintsオリジナル
2024年1月から12月までのBlueprintsオリジナル
2021年10月から2023年12月までのBlueprintsオリジナル
追記:2025年1月からのBlueprintsが公表されています(12月時点で)。
2024年のBlueprintsと何が変わったかは、Summary of revisions to the Uniform CPA Examination Blueprints 2025 を参照してください。
(3)Blueprintsを基にした試験対策
Blueprintsを基にした試験対策を取りまとめました。
「Blueprints(ブループリント)を基に試験対策をした方がいいのはわかる。
とはいえ、Blueprintsを読んでもどう試験対策に活かせるのかわからない」。
そんな声があったためです。
必須科目と選択科目の全6科目あります。
新USCPA試験(2024年1月以降)の試験対策
まだ更新・追記を続けています。
アメリカのCPAコースプロバイダーの情報も確認し、なるべく網羅して書いたつもりです。
Blueprints(ブループリント)の詳細が知りたい場合は、さらにお進みください。
1.Blueprints(ブループリント)とは?
「Blueprints(ブループリント)」とは何なのか見ていきましょう。
(1)BlueprintsはCPA試験の設計図
「Blueprints」は、AICPA(米国公認会計士協会)が作成します。
AICPAというのは、CPA試験の作成と採点をしている団体です。
AICPAは「Blueprints」という設計図を基にCPA試験を作成します。
(2)BlueprintsはCPAが知っておくべき会計業務のまとめ
「Blueprints」は、CPA資格を新たに取得する人が知っておくべき会計業務(タスク)をトピックごとにまとめたものです。
これらのタスクは、アクションアイテムとして記載されています。
「Blueprints」のアクションアイテムの例
- ~を理解する。
- ~を作成する。
- ~を修正する。
- ~を適用する。
アクションアイテムは、常に動詞の形で記載されているのが特徴です。
(3)Blueprintsは4つから5つのコンテンツエリアで構成
「Blueprints」は、試験科目ごとに4つから5つのコンテンツエリア(出題範囲)で構成されています。
コンテンツエリアでは、CPA試験のトピックの階層が説明されています。
知っておく必要のあるタスクがトピックごとにまとめられ、そのトピックがコンテンツグループにまとめられ、コンテンツグループがコンテンツエリアにまとめられています。
Blueprintsの構成
タスク→トピック→コンテンツグループ→コンテンツエリア
2.Blueprints(ブループリント)から何が分かる?
「Blueprints」から何が分かるのか見ていきましょう。
(1)BlueprintsからCPA試験に出題される概念が分かる
「Blueprints」には、CPA試験で出題される可能性のある概念が記載されています。
とはいえ、CPA試験の学習に必要な実際の内容が含まれているというわけではありません。
ですが、CPA試験で出題される各問題は「Blueprints」の概念のどれかに直接関連しています。
よって、理論上は「Blueprints」のタスクをすべてこなすことができれば、CPA試験に合格できると言えます。
(2)Blueprintsから何が、どのくらい、どのレベルで出題されるかわかる
「Blueprints」を読むと、以下のようなことが分かります。
Blueprintsから分かること
- 何がCPA試験に出題されるのか
- どのコンテンツがどのくらいCPA試験に出題されるのか
- 各概念がどのレベルでCPA試験に出題されるのか
①どこに労力を割くべきかわかる
コンテンツエリアの割合が記載されています。
新USCPA試験のBlueprintsにおける、AUDのコンテンツエリアの割合は、以上のようになっています。
これを見ると、どのくらいの労力や時間をどのコンテンツエリアに割くべきかが分かるでしょう。
ちなみに、AUDの場合、労力や時間をかけて理解を深めるべきは、コンテンツエリアⅡ(25‐35%)とⅢ(30‐40%)の2つですね。
AUDで不合格になった方のPerformance Reportを見ると、この2つがWeakerになっていることがかなり多いです。
監査の肝が理解できていないということで不合格になっていることが分かります。
Performance Reportについては、こちらを参考にしてください。
②どのくらいのレベルのスキルが必要かわかる
各タスクがどの程度のスキルを必要とするかが記載されています。
「Blueprints」においては、各タスクに対して、4つのスキルレベルのいずれかが割り当てられています。
「Remembering and Understanding(記憶と理解)」が最もシンプルなスキルレベルで、「Evaluation(評価)」が最も複雑なスキルレベルとなります。
つまり、高いスキルが必要な順に上から並んでいます。
スキルレベル
- 「Evaluation(評価)」:問題を検討または評価し、そして判断して結論を出すこと。
- 「Analysis(分析)」:原因を特定し、推論を裏付ける証拠を見つけるために、別々の分野の相互関係を調査、研究すること。
- 「Application(応用)」:知識・概念・技術を使用、あるいは実証すること。
- 「Remembering and Understanding(記憶と理解)」:ある分野の重要性を認識し、理解すること。
各科目ごとのスキルレベルの割合は、以下の通りです。
たとえばAUDを見ていただくと、最も複雑なスキルレベルである「Evaluation(評価)」は、AUDにしかないことが分かります。
AUDのTBSが難しく感じる人がいるのは、AUDのTBSでのみ「Evaluation(評価)」レベルの出題があることが影響しているかもしれません。
スキルレベルと出題形式の関係
- 「Remembering and Understanding(記憶と理解)」:MCで出題
- 「Application(応用)」:MCかTBSのどちらかで出題
- 「Analysis(分析)」と「Evaluation(評価)」:TBSで出題
この図解はAICPA主催のウェビナー(日本時間2024年7月27日開催)で表示されていたもの。
AICPAによると、「RememberingとUnderstanding(記憶と理解)」のタスクはMCで出題され、「Application(応用)」のタスクはMCかTBSのどちららかで出題され、「Analysis(分析)」と「Evaluation(評価)」はTBSで出題されるとのことです。
補足:新USCPA試験になってからのAICPA主催のウェビナーでも同じことを言っていたので、新USCPA試験も同じと考えます。
USCPA試験は、AICPAのBlueprints(ブループリント)を見ると、どんなタスクが、どのくらいの量、どのくらいの高さのSkill Levels(スキルレベル)で出題されるのか分かります。
スキルレベルで出題形式の予想がつくので、参考にするといいですね。 pic.twitter.com/v70cUfVfIb— どこ『USCPAになりたいと思ったら読む本』著者 (@dokoblog) March 14, 2024
USCPA試験のBlurprintsのスキルレベルについては、以下の記事を参考にしてください。
3.Blueprints(ブループリント)の利用法は?
「Blueprints」をどう使えばいいのかも見ていきましょう。
(1)Blueprintsはガイドブックとして参照する
「Blueprints」は、CPA試験のガイドブックとして活用するといいのではないでしょうか。
「Blueprints」を見ると、CPA試験でどのようなトピックが扱われるかの内容や、どの分野が重点的にカバーされているかの概要が把握できます。
AICPAは、CPA試験の内容に透明性を持たせるため「Blueprints」を公開しています。
CPA試験中に出題された内容に驚くことがないように、CPA試験前に情報を得られるようにしているわけです。
ですので、CPA試験の学習の「オトモ」にして、どの分野にどのくらいの学習時間をかければよいのか悩んだ際に参照するなど、困った時の「ガイド」にするといいのではないでしょうか。
(2)BlueprintsをUSCPA予備校の代わりにしない
「Blueprints」には学習に必要なものが記載されてるので、「Blueprints」があれば、USCPA予備校は必要ないと思われるかもしれません。
ですが、「Blueprints」を自分の学習計画に活かすことはできると思いますが、「Blueprints」だけで学習を進めるのは難しいでしょう。
そもそも、USCPA予備校は、「Blueprints」に基づいてカリキュラムを作成し、教材を提供しています。
USCPA予備校が、受講生のために「Blueprints」の分析をしてくれていますので、受講生は、何を勉強すべきなのか考えることに多大な時間をかける必要がなく、勉強自体に時間をかけることができるわけです。
さらに、USCPA予備校の教材で演習することで、「RememberingとUnderstanding」といった、ただ覚えたり理解していればいいという問題だけではなく、「Analysis」や「Evaluation」といった、高いレベルでのスキルが必要な問題にも対応できるようになります。
ですので、「Blueprints」があれば、USCPA予備校は必要ないと考えない方がいいでしょう。
4.Blueprints(ブループリント)の注意点は?
Blueprintsを使う際の注意点も挙げておきます。
(1)Blueprintsに載っていなくても出題される
Blueprintsに載っていないトピックもUSCPA試験で出題されるので注意しましょう。
Blueprintsに載っているのは、USCPA試験で必ず出題されるというわけではありません。
そして、よく誤解されているのですが、Blueprintsに載っていなければUSCPA試験で出題されないというわけでもありません。
Blueprintsが改正されて、あるトピックが消された場合「このトピックはもうUSCPA試験で出題されない」と言っている人がいますが、それは違います。
消されたのは単に、重要度が下がっただけということもありえます。
重要度が下がっても出題される可能性はあります。
それなら学習しないと思うか、それでも学習すると思うかは本人次第です(質問をいただいた際もこのようにお答えしています)。
ですが「Blueprintsに載っていないから出題されない」と言い切るのは誤っているでしょう。
(2)試験内容は会計・監査基準や税法改正の影響も受ける
Blueprintsには反映されていなくても、会計・監査基準や税法などの改正により、試験内容は変更となる点にも注意しましょう。
参考までに、USCPA試験の試験内容の変更に関するAICPAの方針をご紹介します。
USCPA試験に関するAICPAの試験内容変更方針
改正の種類 | AICPAの方針 |
会計・監査に関する公布の改正 | 以下のいずれか遅いほうの時期に出題できる。
(1)最も早い強制発効日の後に開始する最初の四半期、または、(2)発効日の6ヶ月後に始まる最初の四半期。 |
内国歳入法・連邦税法の改正 | 発効日または施行日のいずれか遅い日から6ヶ月後に開始する四半期に出題できる。 |
連邦税の分野以外の連邦法の改正 | 発効日から6ヶ月後の四半期に出題できる。 |
統一法の改正 | 各法域の単純多数決による採択から1年後に開始する四半期に出題できる。 |
その他のすべての科目に関する改正 | 以下のいずれか遅いほうの時期に出題できる。
(1)最も早い強制発効日の後に開始する最初の四半期、または 、(2)発効日から6ヶ月後。 |
何らかの改正があっても、USCPA試験に出題するまでには、しばらく猶予があることが分かります。
自分で検索などして最新の情報を得て、USCPA予備校のテキストの内容が新しくなっていないことに気が付いた人が、最新になっていないと非難しているのをよく見かけます。
ですが「すぐに出題されないので、すぐには反映されない」ことに注意が必要ですね。
何が出題範囲内なのか、出題範囲外なのかは、会計・監査基準や税法などの改正を確認すれば分かります。
SNSなどの噂ではなく、どのような改正があったのか自分で確認した方がよいでしょう(改正についてよく質問をいただきますが、一度は自分で調べてみてくださいね)。
USCPA試験に出題するまでには、改正後しばらく猶予があります。
税法の改正があっても、REGの問題はしばらく古いままだったり。
改正が出題できるようになった時点で、その改正に影響を受けた古い内容は削除されます。 pic.twitter.com/nAEu9u2wqJ— どこ『USCPAになりたいと思ったら読む本』著者 (@dokoblog) March 20, 2024
以上、「USCPAのBlueprints(ブループリント)とは?何が分かる?利用法と注意点」でした。
USCPA予備校の代わりにはならないけど、知っておくべきUSCPA試験の情報が詰まっているから、ガイドとして使うといいみたいだね。
USCPA予備校は、高いスキルが必要なところは教材で深く説明し、単に覚えておけばいいところは、一応教材で取り上げていても、講義では軽く触れるだけなど濃淡をつけているはずだから。
まず、学習を始めるときに、学習を始める科目のBlueprintをざっと読んで、概要をつかむといいかな。
それから、効率よく勉強をしたいけど、USCPA予備校の情報だけでは、何にどのくらい時間をかけるべきか迷ったときに、Blueprintsを参照するといいと思うよ。
あと、なかなかギリギリの点で合格できないとき、Blueprintsを読んでみると、深く理解できないといけないものが抜け落ちていることに気が付くかもしれないよ。
USCPA予備校とBlueprintsと、どちらもうまく活用して合格してね。
まだUSCPAの勉強を始めていない場合は「USCPAの始めかた」も参考にしてください。
USCPA試験については、どこの著書『USCPA(米国公認会計士)になりたいと思ったら読む本』も参考にしてくださいね。
USCPA短期合格のコツも記載しています。